2013 Fiscal Year Research-status Report
分散処理環境における高速・高精度かつ低負荷な画像検索システムの開発
Project/Area Number |
25730073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
渡邊 修 拓殖大学, 工学部, 准教授 (30384697)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 画像検索 / JPEG 2000 / 画像圧縮 |
Research Abstract |
本研究の目的は,分散処理環境における高速・高精度な画像検索システムの開発である.分散処理環境における画像検索システムの課題は,応答速度,セキュリティ,検索に用いる特徴量データのコンパクト性などが挙げられる.これらの課題を解決し,モバイル端末のように,処理能力が低く,狭い伝送路帯域における分散処理環境においても,高速かつ高精度に画像検索を行うためのシステムを提案することが本研究の最終目標である. 平成25年度の目標は,画像検索のための特徴量を固定長化するためのアルゴリズムの構築であった.ベースとする画像符号化方式は,高精細画像の符号化に用いられているJPEG 2000としている.申請者らは,既にJPEG 2000符号化画像に対して,固定長の特徴量をハッシュ関数を用いて生成する方法を提案しているが,この方法には次の欠点が存在していた.それは,ある特殊なシーンにおいて,異なる画像に対して同一の特徴量を与えてしまうということである.この問題を解決するために,ハッシュ値生成のアルゴリズムを詳細に解析した所,現状のままでは,同一画像においても,JPEG 2000の符号化パラメータ,特に量子化ステップサイズが大きく異る場合に,異なるハッシュ値を生成してしまうことが分かった.すなわち,異なる画像で同一のハッシュ値を生成してしまう問題の回避の前に,同一の画像から異なるハッシュ値を生成してしまう問題を回避しなくてはならないことが判明した.現在,この問題を回避するためのアルゴリズムの検討を行っている段階である.これと並行して,具体的な画像検索システムとして,JPEG 2000符号化画像に基づくフォトモザイク生成システムの検討を行った.これについては一定の成果を得ることができ,学会発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で既に述べたように,本研究のベースとなる手法の提案当初には想定していなかった,同一の画像から異なるハッシュ値を生成してしまうという問題があることが分かった.これは,異なる画像で同一のハッシュ値を生成してしまう問題の発生メカニズムを明らかにしようとする課程で,確認された問題点である.現状,なぜこの問題が発生するか,そのメカニズムのほとんどは解明出来ているが,これを回避するアルゴリズムについては未完成であるため,本研究の最終目標の達成に対して,「遅れている」側面もあるが,これらと平行して,画像検索システムの具体的応用として,JPEG 2000符号化画像に基づくフォトモザイク生成システムを検討し,その実現可能性を確認出来たため,総合的に「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの達成度」で述べたように,現在,「異なる画像で同一のハッシュ値を生成してしまう」という問題に加えて,量子化ステップサイズをはじめとする符号化パラメータが大きく異る場合に,「同一の画像からでも異なるハッシュ値を生成してしまう」という問題に直面している.この問題の発生メカニズムは,例え同一の原画像であっても符号化パラメータが異なる場合に,JPEG 2000の符号化単位であるコードブロックのゼロビットプレーン数が,異なる場合があるということに起因する.ゼロビットプレーン数から得られる情報をハッシュ関数に入力する際には,実際にはゼロビットプレーン数そのものを入力せず,注目コードブロックの周辺状態を入力しているが,この周辺状態の判定アルゴリズムを改良することによって,この問題を回避出来ると考えている.現在,アルゴリズムの実装を行っている段階であり,今年度中には解決できると考えている.この方針にそって一定の成果が得られれば,学会発表・論文投稿することを予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は「現在までの達成度」に述べた問題点が発覚したため,その問題点の把握および発生メカニズムの解明に多くの時間を割いたことから,研究のための資源をすべては投入することができず,繰越が生じたと考えている.ただし,平成25年度の計画で使用予定であった旅費については,平成26年3月末~4月初めにかけて,ISO/IEC JTC1 SC29 WG1の会合参加に関する旅費として精算予定である. 「理由」欄で述べたように,平成25年度は発生した問題点の把握と発生メカニズムの解明に多くの時間をさいたため,繰越が生じたが,その結果として,「今後の研究の推進方策」で述べたような方針を定めることができたと考えている.平成26年度は,この方針にしたがって研究費を使用する予定である.具体的には,画像検索システム構築のためのワークステーション,ネットワーク機器,モバイル端末,無停電電源装置を購入予定である.また,平成26年度は,学会発表や論文投稿についても,積極的に進めていくことを考えている.その他は,データ取得や実験補助のための謝金を支出予定である.
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