2013 Fiscal Year Research-status Report
検索性とプライバシー保護性を両立する顔画像の蓄積及び検索機構の研究
Project/Area Number |
25730084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森村 吉貴 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (80578279)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プライバシー保護 / 画像検索 / 顔画像認識 / 情報セキュリティ |
Research Abstract |
本研究では画像検索技術と暗号技術の統合により、犯罪者の顔画像の検索性と善良な市民のプライバシーの保護性を両立する顔画像の蓄積及び検索機構の構築を目指す。そのために、(1)顔画像からの適切な識別符号の生成法、(2)識別符号に基づく検索正当性の確認手続きを備えた暗号化処理及び復号処理法の二点の実現方法を明らかにし、この組み合わせにより提案機構を構築する。本年度は、研究目標(1)「顔画像からの適切な識別符号の生成法」に関し、識別符号の生成法としてLBP特徴量抽出法を取り上げ、監視カメラ映像を想定することによる大量の未知顔画像入力時の識別能力と、後段の処理で暗号化用の識別符号として用いるために特徴量を離散化した時の識別能力について検証した。また、研究目標(2)「検索正当性の確認手続きを備えた暗号化処理及び復号処理法」に関し、検索正当性の確認手続きを備えた暗号化処理及び復号処理法は、ID ベース暗号技術の利用シナリオにおけるID に顔画像由来の識別符号を当てはめ、復号鍵の発行者に検索の正当性の確認の役割、すなわち犯罪捜査の妥当性の検証の役割を持たせることで、ID ベース暗号の枠組みを本研究の目的に沿って利用するための理論構築を行った。上記の(1)(2)で得られた成果の組み合わせにより、提案する技術の顔画像の蓄積及び検索機構の基盤的なシステムの構築が可能となった。これにより、提案技術の理論的な実装可能性が示され、顔画像検索におけるプライバシー保護と社会的利便性の両立についての一つの観点を社会に加えることが可能となった。また、今後の研究に向け各要素技術について性能的評価を与え、最適な選択肢を検討するための基盤が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目標(1)「顔画像からの適切な識別符号の生成法」については、複数の顔特徴量抽出手法の比較検討を行うことはできなかったが、本手法で採用するにあたり最も有望であるLBP特徴量抽出法について一通りの実装を行い、公開データベースを対象とした客観評価を行うことができたため、次年度に向けて充分な評価基盤を作成することができた。また、研究目標(2)「検索正当性の確認手続きを備えた暗号化処理及び復号処理法」については、ID ベース暗号の枠組みを本研究の目的に沿って利用するための理論構築を行い、暗号化パラメータの最適条件の検討や、(1)(2)を合わせたシステムの総合評価が実施可能な状況となっている。以上より、本研究課題は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目標(1)「顔画像からの適切な識別符号の生成法」に関し、これまでに開発した識別符号の生成システムを用いて、誤識別に対する人間の主観的な許容度を被験者実験により計測する。具体的には、無実の市民と犯人が類似した顔画像を持つとき、どの程度まで類似していれば「これは人間が見ても確かに類似した顔であるため、犯罪捜査の目的であれば顔画像が利用されても仕方がない」と考えるかを測定する実験である。この実験から導かれる誤識別の主観的な許容度と、機械的に評価した誤識別の性能を組み合わせて評価することで、複数存在する顔特徴量抽出手法のうちどの手法を利用すれば識別符号の生成に最適かを明らかにする。また、研究目標(2)「検索正当性の確認手続きを備えた暗号化処理及び復号処理法」に関し、研究目標(1)の評価によって明らかにした最適な特徴量抽出手法に基づく識別符号を用いた場合の暗号化と復号の処理性能を、実際にシステムを構築して計測し、実応用に耐えうるスループットを出せることを明らかにする。また、最終的な機構の構築までに判明した識別符号の性質と暗号化手法の性能を総合して分析し、研究成果として公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目に評価実験を多く行うことを前提に予算を申請したが、論文準備に伴い理論面の準備を優先したため。 評価用画像の獲得、主観評価実験、システム構築などのために物品費、謝金を使用する。
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Research Products
(1 results)