2014 Fiscal Year Research-status Report
裁判員による情報の重みづけが証言の信頼性評価に及ぼす影響
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25730090
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
石崎 千景 九州国際大学, 法学部, 准教授 (00435968)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 証言 / 重み付け / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度における主な研究実績は次の2点であった。第一に、前年度までの成果について、法と心理学会第15回大会において研究報告を行った。 第二に、次の実験を行った。市民が被害者遺族による証言の信頼性を判断する際、判断の根拠として参照される各情報の重みづけはどのようにして行われるのか検討を行った。はじめに、大学生等118人に模擬裁判シナリオ(刑事訴訟法を専門とする大学教員によって作成された殺人事件のシナリオを実験者が編集・短縮化したもの)を提示した。その際、被害者遺族(または被害者の隣人)による証言の信頼性と関連する情報(目撃時の明るさ、確信の強さ)を独立変数として操作した(3要因被験者間計画)。 シナリオを読んだ後で参加者は、被害者遺族(または被害者の隣人)による証言の信頼性を判断した。判断の対象となる証言は、(1)事件現場の近くで被告人を目撃したとする証言、(2)被告人の素行に関する証言、(3)被害者の素行に関する証言の3点であった。また、参加者は、同人の証言について、(4)論理的であるか、(5)感情的であるかについても判断を行った。 得られた評定値に対してそれぞれ3要因被験者間分散分析を行った。その結果、一部の要因で主効果が有意傾向であったのみであり、いずれの分析においても有意な交互作用は見られなかった。これらの結果から、証言の信頼性と関連する情報の重みづけは、事案に含まれる他の情報との関連性によって相互作用的に変化していたのではなく、情報ごとに独立に行われていたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに予定されていた実験を終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、前年度までの結果を踏まえ、知見の精緻化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に学会への参加・出張の費用として検討されていた経費が、研究の進捗状況に伴い、次年度へ繰り越されたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会への参加・出張費、実験参加者への謝金として用いる予定である。
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Research Products
(1 results)