2014 Fiscal Year Research-status Report
感情価ベースの注意資源を探る-認知神経科学的手法による検討-
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25730091
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
源 健宏 大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教 (40611306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 選択的注意 / 感情 / 前部帯状回 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,感情価を有する情報に対する注意資源の性質を解明することを目標に掲げている。平成26年度は,ポジティブな感情価を対象とし,ポジティブな感情負荷が,その後の感情情報処理に与える影響をfMRI(機能的核磁気共鳴画像)法を用いて検討した。具体的には,感情ストループ課題遂行中の前部帯状回の活動に着目し,ポジティブな情動負荷が与えられている状況下での振る舞いを調べることで,感情情報に対する注意資源が,感情価ベースで備わっているのか,それとも感情価普遍的に備わっているのかを検証した。平成25年度に実施したネガティブな情動負荷を用いて実施したfMRI実験の結果と照らし合わせたところ,感情負荷の情動価に関わらず,強い感情負荷が与えられると,感情ストループ課題遂行時の前部帯状回の活動が低下することを示す結果が得られた。これらの結果は,感情価を有する情報に対する注意資源は,感情価普遍的に備わっていることを示すものであり,その注意資源が枯渇すると,感情価を持つ情報は処理されなくなることを示唆している。これらの結果を統合して考察すると,ネガティブな感情価とポジティブな感情価をもつ情報の処理は,異なる神経経路を通しておこなわれると仮定する説とは一致しないものの,意識的に統合された感情情報の知覚は,感情価非依存な神経表象として処理されていると考えることができる。今後は,他の生理指標を踏まえて当該仮説の検討を進めることで,感情情報に対する注意資源の全容解明に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定していた仮説とは異なる結果が得られたものの,当初の予定どおりネガティブおよびポジティブな感情負荷を用いたfMRI実験の実施とデータ解析を完了することができた。また,とりまとめ(研究発表および論文執筆)についても着々と準備を進めている。このような進捗状況を踏まえ,本研究課題は,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,脳機能画像以外の生理指標測定(発汗など)を用い,課題遂行中の生理学的変化の測定を通して,感情情報に対する注意資源の特性に関する詳細な検討を進める。そして,最終的には,その理論化に到達することを目指す。また,取得した脳画像データを対象に,高度な分析を適用することで,感情情報に対する注意資源を反映する神経ネットワークについても解明したい。
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Causes of Carryover |
11月から発注手続きに入っていた皮膚電位計の納期に遅れが生じ,皮膚電位計測実験の実施ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の早期段階で,皮膚電位実験に取りかかり,年度内に当初の目標が達成できるよう取り組む。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] The anodal tDCS over the left posterior parietal cortex enhances attention toward a focus word in a sentence.2014
Author(s)
Minamoto, T., Azuma, M., Yaoi, K., Ashizuka, A., Mima, T., Osaka, M., Fukuyama, H., & Osaka, N.
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Journal Title
Frontiers in Human Neuroscience
Volume: 8
Pages: 992
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Temporal de-synchronization may underlie audio-spatial binding in working memory: An EEG study under anesthesia in humans.2014
Author(s)
Minamoto, T., Ikeda, T., Endo, K., Nakae, A., Hagihira, S., Fujino, Y., Mashimo, T., and Osaka, M.
Organizer
Society for Neuroscience 44th Annual Meeting
Place of Presentation
Washington, DC, USA
Year and Date
2014-11-18
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