2013 Fiscal Year Research-status Report
断片文字の認知における心理学的・神経生理学的モデルの構築および応用
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25730097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
姜 銀来 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70508340)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 断片文字 / 視覚補間 |
Research Abstract |
本研究では、断片文字を用いて、視覚補間と呼ばれる断片的視覚情報を認知できる能力を、定量的に計測し、視覚補間に関与する脳活動をfMRIで解析する。さらに、加齢および認知症の危険因子との関連性を調べることで、断片文字の認知力による認知症の危険予測の可能性を検討する。 平成25年度は、購入した高速視点追跡装置ViewPoint EyeTracker(90 Hz, Arrington Research, USA)を用いて、断片文字の認知におけるヒトの視点変化を測定した。2値画像の断片文字の各部分における視線の停留時間を統計した結果、残された部分だけではなく、欠けている部分の停留時間も相対的に長いことがわかった。欠けている部分を見て、脳内で補うことが示唆された。欠けている部分、つまり背景となる部分の情報量も定量的に評価する必要があることが示された。最短距離連結モデルにおける連結閾値を検討した結果、閾値は30-50ピクセルの場合に連結した断片文字と、元の断片文字の認知率と関連性があることが示された。断片文字の認知を通して、視覚補間の神経生理学的メカニズムを解明するため、高知工科大学脳コミュニケーションfMRI(3.0T, Siemens, Germany)を用いて、断片文字の認知に関わる脳部位を特定する実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究の目的に対して、実施計画では大きく分けて①視点追跡による断片文字各部分の重要度評価、②最短距離連結モデルにおける連結閾値の検討、③fMRI計測による断片文字認知に関与する脳部位の特定を実施する予定であった。現時点で①と②の課題に対して期待する結果が得られている。③に関しては、実験プロトコル設定の試行錯誤に時間がかかって、計画通りに実験を実施したが、データ解析が計画より遅れている。よって、評価区分を「やや遅れている」とした。ただし、既にデータ解析の手法が決まって、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、前年度の研究成果を更に発展させ、断片文字の認知における心理学的と神経生理学的モデルの構築に挑む。 具体的に、まず断片文字の背景となる部分の情報量も定量的に評価し、従来のモデルに取り入れ、より精確に文字部分の重要さを評価する方法を提案する。次に文字各部分の重要さにしたがって、断片文字の残存情報が完全文字に対する割合を計算する。この割合と、断片文字の認知実験における認知率と照合することで、モデルの妥当性を検討する。また、 fMRI実験の測定結果をMatlabとSPMを用いて解析を行い、断片率の増加による脳の活動状態に有意な変化を考察する。従来研究で得られた知見を踏まえ、断片文字認知に関わる脳神経基盤の解明にチャレンジする。
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Research Products
(2 results)