2014 Fiscal Year Research-status Report
断片文字の認知における心理学的・神経生理学的モデルの構築および応用
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25730097
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
姜 銀来 電気通信大学, 脳科学ライフサポート研究センター, 准教授 (70508340)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 断片文字 / 認知力 / 介護予防 / 早期発見 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、断片文字を用いて、視覚補間と呼ばれる断片的視覚情報を認知できる能力を定量的に計測し、視覚補間に関与する脳活動をfMRIで解析する。さらに、加齢および認知症の危険因子との関連性を調べることで、断片文字の認知力による認知症の危険予測の可能性を検討する。 平成26年度では、fMRI(3.0T, Verio, Siemens)を用いて計測した被験者10人のデータを解析した結果、断片率により断片文字の認知に関わる脳部位が異なることを明らかにした。完全文字の認知に比べて、断片率が0.3、0.6、0.8である時に、断片率が高いほど、脳賦活領域が広くなるが、断片率が0.9である時に、有意に賦活した部位がなかった。断片文字を用いて脳の認知機能を評価する際に、適切な難易度設定が非常に重要であることが示唆された。 前年度の実験で示された背景の重要性を考慮して、背景の情報量も断片文字の認知力の計算法に取り入れことで、新たな計算モデルを構築した。同じサイズの文字画像において、同じ位置の背景を共通する文字数が多いほど背景の情報量が低く評価することで、背景の重要性を定量的に定義した。背景と文字が総合情報量で認知力を評価することで、より妥当であることが確認された。 加齢および認知症の危険因子との関連性を調べるために、断片文字認知の正答率を白質病変との相関を解析した。その結果、断片率0.7と0.9の場合より、断片率0.86の場合、白質病変のグレードと関連して正答率が変化する文字の数が多かった。fMRI実験の解析結果との整合性のある結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的に対して、実施計画では大きく分けて、断片文字認知の定量計測法の開発と、断片文字認知の脳神経基盤の計測と、断片文字の認知力と加齢および認知症の危険因子との関連性の解明との三つの課題に取り組んでいる。平成26年度は、それぞれの課題に対して計画した項目を遂行し、最終年度で全体計画を完成させる準備ができたので、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに進めながら、これまでの成果の発表を積極的に行っていきたい。 平成26年度では、脳の賦活おおび認知力に相関の高い断片率の範囲をある程度特定できたので、それに基づいて、認知機能との関連性の高い断片文字の特徴の解明に挑む。背景の情報量を考慮したモデルを計測システムに統合し、高齢者でも簡単に操作できる計測デバイスを開発する。
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Research Products
(3 results)