2013 Fiscal Year Research-status Report
文脈付加により生じるゲシュタルト知覚の比較発達研究
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25730100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
後藤 和宏 相模女子大学, 人間社会学部, 講師 (20546725)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゲシュタルト知覚 / パターン優位性効果 / 創発的特徴 / 探索非対称性 / 発達的変化 / 幼児 |
Research Abstract |
ヒトに特有なまとまりの知覚とは何か、それはどのように発達的変化するかを明らかにするために、申請者のこれまでの研究において確立されたパターン優位性効果のパラダイムに基づき課題を発展させ、様々な文脈での知覚的まとまりについて検討する計画である。初年度は、ヒト4歳児と成人を対象に、ある刺激を弁別する場合に比べ、弁別とは無関係の文脈が付加される場合に弁別が容易になるかを検討した。弁別は4選択課題で行い、提示される4つの図形のうち他の3つと異なる標的を検出するものであった。結果、幼児も、成人同様に文脈付加が標的検出を促進させることから、文脈付加により創発する特徴を知覚することが示唆された。ただし、いくつかの図形に関して、幼児は、成人では見られなかった探索非対称性を示した。このことは、かたちの知覚は、4歳では完成していないことを示唆している。この成果はすでに論文としてまとめ、発達心理学の国際専門誌に投稿したものの、査読者から問題点を指摘され、現在、追加実験を準備中である。 さらに、写真のような複雑な刺激を用いて、弁別とは直接関係のない文脈付加が弁別を促進させるかを検討する実験の準備を始めた。文脈付加の有無により、視線の動きが変化すると考えられるため、ヒト成人用のアイトラッカーによる視線計測を実施するための環境づくりを行った。今後、文脈付加の有無が視線の動きを変化させることを確認できた刺激を用い、ヒトおよびチンパンジーでの比較研究を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは実験の実施順序が前後しているが、概ね予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト幼児を対象に実施した実験は、すでに論文としてまとめ、国際的な発達心理学の専門誌に投稿し、査読を受けた。論文はいくつかの問題を指摘され、不採択となったため、現在、追加実験を実施する準備を行っている。したがって、当初の予定よりもデータをまとめるのに時間がかかるものの、致命的な問題ではないため、今年度中には再投稿したいと考えている。その他の実験に関しては、計画通り実施したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
妻が緊急帝王切開で出産し、長女が2ヶ月早産であったため、NICUに毎日通院する必要があり、当初予定していた国内・海外での成果報告を取りやめた。旅費として計上していた予算は執行できず、次年度に繰り越した。 初年度にヒト幼児とヒト成人を比較した実験を論文にまとめたが、査読者により、いくつかの問題点を指摘されたため、ヒト成人での追加データを集めるために支出する。また、初年度にできなかった学会での成果報告を行う予定である。
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