2014 Fiscal Year Research-status Report
実世界センシングにより得られる環境依存情報を活用した環境適応型画像認識
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25730110
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
出口 大輔 名古屋大学, 情報連携統括本部, 准教授 (20437081)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境適応 / 画像認識 / 環境依存情報 / 実世界センシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,実世界をセンシングして得られる種々の情報から環境特有の情報を環境依存情報として抽出し,この情報を活用することで物体検出器・認識器の性能を実際に使用する環境に応じて最適化する画像認識技術の確立を目的としている.このような画像認識技術を実現するためには,(1)実世界センシングにより得られる情報から環境依存情報を特定する技術,および,(2)環境依存情報を用いて各環境で最適な検出器・認識器を自動的に再構築する技術,の2つの要素技術の解決が必要である.平成26年度は,(a) 天候等の環境変化を含む車載カメラ映像データベースの構築,(b)環境依存情報を利用した環境適応型の物体検出・認識技術,を実施した.(a)においては,平成25年度に実施したデータ収集を継続し,車載カメラおよびGPSを搭載した車でさまざまな道路を走行し,天候変化を含むデータベースを構築した.(b)においては,平成25年度に実施した走行場所の変化を環境依存情報として捉える環境適応型画像認識技術を発展させ,画像認識器が苦手とする環境と得意とする環境の違いをとらえた新しい環境適応の枠組みを検討した.具体的には,事前に構築した物体検出器では,環境に応じて特有の誤り(誤検出)が発生するという点に着目し,誤りの傾向を分析することで環境を分類し,それぞれの誤りに対応した検出器を構築する技術を開発した.また,構築した複数の検出器を統合利用することで,物体検出の性能が改善することを確認した.物体検出器・認識器の誤りの傾向によって環境を分類するという考え方は本年度新しく得られた着想であり,平成27年度においてさらなる技術開発を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,(a) 天候・季節変化を含む車載カメラ映像データベースの構築,(b) 天候・季節の違いを環境依存情報として捉えた環境適応型の物体検出・認識技術,の研究開発を実施した.(a)に関しては,平成25年度に実施したデータ収集を継続するとともに,天候等の変化を含むデータベースへと拡張を行った.(b)においては,物体検出器・認識器が環境に応じて特有の誤り方をするという点に着目し,検出器の誤り傾向を環境依存情報として利用する新しい手法を開発した.公開ベンチマークデータセットを用いた評価により,その有効性を確認した.また,環境情報の抽出にはそれぞれの環境の背景を推定する技術も重要となる.そこで,複数走行により得られる車載カメラ画像系列からそれぞれの環境の背景を復元する技術を開発した.これらを国内外の会議で発表を行っていることから,概ね順調に研究は進捗していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
手法の開発と評価のためには,データベースの整備は不可欠である.そこで,平成26年度までに実施したデータベース構築を継続し,さらなる環境変化に対応したものへとデータベースの拡張を行う.また平成26年度に新しく得られた知見である,環境に応じて発生する特有の検出誤りを環境依存情報とする環境適応型画像認識の研究開発を進める.そして,本課題で開発したソフトウェアをオープンソースとして提供するための準備を進める.
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