ポストマルチタッチインタラクション技術の開発

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25730125
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Research Institution: Miyagi University
• Principal Investigator: 鈴木 優 宮城大学, 事業構想学部, 助教 (70612779)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: タッチインタラクション / タッチパネル / HCI

Research Abstract

現在，計算機の利用形態が個人所有型から環境埋込型に進化する過程にある．クラウドやナチュラルユーザインタフェース等が普及段階に入っていることもこのことを示唆している．このような環境埋込型が完全に実現する過渡期において，持ち運びが容易で，ネットワークに常時接続が可能という特徴を持つタッチパネル搭載計算機（以下，タッチ型デバイスと呼ぶ）は重要な役割を担うと予想され，タッチ型デバイスは今後10年の計算機進化において中心的な存在となる可能性が高い．本研究では，今後も重要になるであろうタッチ型デバイスの新しい対話デザインや応用方法等を創造することを目的としており，ここに学術的，社会的な重要性が存在する．
今年度は特に小型のタッチパネルを持つ端末に着目して研究を進めた．普及しているほとんどのタッチ型デバイスにはマルチタッチインタラクションが採用されているが，小型のタッチ型デバイスでは画面の小ささを考慮するとそれが最適なインタラクション手法であるとは必ずしも言えない．そこで，小型の画面で利用可能なインタラクションとして，画面外領域を使用する手法を考案し，プロトタイプ第一版を開発した．プロトタイプの開発には，ハードウェアとして市販のタッチ型デバイスを使用し，ソフトウェアのみを使った処理で画面外での操作を検出可能にした．ソフトウェアのみで本手法を実装したため，既存のデバイスでも本手法を容易に利用することが可能になり，本手法の普及の面において大きなアドバンテージとなる．第一版の開発と試用を通じて，その手法の実現可能性と潜在能力，およびいくつかの問題点を確認することができた．現在はプロトタイプ第一版のレビューとそれに基づく第二版の開発と行っている．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度に開発を予定していたタッチ型デバイスの使用環境の分析やインタラクション手法の設計，プロトタイプの開発等は順調に進展している．計画段階で懸念されていたプロトタイプ試作において大きな問題が発生しなかったことが，順調な進展の要員であると考えられる．
一方で，今年度予定していた研究会等での成果発表には若干の遅れが生じている．これは，研究代表者が今年度に大学を異動し，教育等に割かなければならないエフォートの割合が予定よりも増加し，本研究の活動に割くエフォートを予定よりも若干削らざるを得なくなったためである．しかしながら，開発自体は順調に進んでいるため，今年度予定していた発表等は来年度に問題なく実施できる．
成果発表の面では若干の遅れがあるものの，設計や実装のフェーズでは順調であるため，全体としては概ね順調に進展していると考えられる．

Strategy for Future Research Activity

まず，来年度には今年度実施する予定であった成果発表を研究会等で行う．その外部発表での議論にて得られた知見等を基にして，プロトタイプ第二版の設計やアプリケーション開発等をさらに進めていく．
また，今年度提案したインタラクション手法では十分にカバーできていないタッチ型デバイスの利用環境や利用方法に着目した研究や，具体的なアプリケーションに着眼点を絞った研究等も進めていく．ただし，研究代表者の異動による研究環境の変化により，申請時の来年度の研究実施計画とは実験等のフェーズにおいて若干の変更が見込まれる．この変更が研究の推進に大きな影響が出ないように，所属する大学内外の研究者に協力を仰ぐことも想定して準備を進めている．

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究代表者が大学を異動したことが要員となり，予定していた学会での成果発表等がの未実施となった．これらのために使用を予定していた旅費や学会参加費等の支出が大幅に減少したために，計画よりも使用額が減少し，次年度使用額が生じた．
今年度予定していた成果発表は次年度に行うことを予定しているため，生じた次年度使用額は計画どおりに旅費や学会参加費等に使用する予定である．