2015 Fiscal Year Annual Research Report
同義・含意の関係にある格フレーム間の対応関係の自動獲得
Project/Area Number |
25730131
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹野 遼平 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (70603918)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 格交替 / 格フレーム / 受身・使役 / 意味役割 / 基本語順 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,動詞・形容詞ごと,また,そのヴォイスや用法ごとに個別に構築された格フレーム間の対応付け知識を,格フレームの用例の類似度等に着目することにより自動獲得することで,異なる表層格構造をとる動詞・形容詞間の同義・含意関係や,共通の意味役割を持つ項を明らかにすることである. 本年度は,昨年度まで取り組んだ受身・使役形の格フレームと能動形の格フレーム間の対応付け知識の獲得,および,獲得した知識に基づく格変換実験の延長として,「問題を解く」と「問題が解ける」のような可能動詞化や,「ドアが閉まる」と「ドアを閉める」のような自他交替により表層格構造が変化した動詞を対象に格交替パターンの対応付けを行い,可能動詞化の場合は格助詞「を」から「が」への交替,自他交替の場合は格助詞「が」から「を」への交替を候補として考えることで,基本的に受身・使役と同様の手法を用いて行えることを確認した. さらに,格フレームにおける各表層格の意味役割の分析を1つの目的として,格フレーム構築に使用したデータに基づく日本語二重目的語文の基本語順の分析に取り組み,分析結果が示唆する結論として,1)日本語二重目的語文の基本語順は動詞により異なる,2)PassタイプとShowタイプといった動詞のタイプは基本語順とほとんど関係しない,3)対象の動詞と高頻度に共起する格は動詞の近くに出現しやすい,4)基本語順はニ格の意味役割により変化する,5)対象の動詞と高頻度に共起するヲ格名詞・ニ格名詞は動詞の近くに出現しやすい,という5つの結論を得た.
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