2014 Fiscal Year Research-status Report
逆包摂法に基づく仮説推論の効率化とシステム生物学への応用
Project/Area Number |
25730133
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山本 泰生 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30550793)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 仮説発見 / 逆包摂法 / システム生物学 / 逆伴意法 / 頻出アイテムマイニング / リソース指向近似計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初計画に基づき,以下に示す2つの研究課題に取り組んだ. 1. 逆包摂法に基づく仮説推論のスケーラビリティ向上: 逆包摂法の枠組みでは,仮説の探索空間を包摂束として構造化する.これにより,人工知能やデータマイニング分野で培われてきた効率的な束構造上のデータ探索法を扱えるようになる.この中で本研究では,仮説推論に適用可能なデータマイニング技術として,トランザクションデータ上の頻出パターンマイニングに着目している.頻出パターンとは,多くのトランザクションに共通して出現するアイテム集合のことであり,各トランザクションを包摂束上のボトム節とみなせば,頻出パターン集合は,ボトム節集合をできる限りコンパクトに包摂する基礎仮説と考えることができる.今年度は,昨年度提案した「リソース指向型」のオンライン頻出マイニング法をベースとする逆包摂型の仮説推論法を検討した. 2. 仮説推論による分子ネットワーク上の知識発見 (1) 出芽酵母のグルコース抑制機構モデルに仮説推論を適用し,モデル上の欠落因子を発見する応用課題に取り組んだ,モデルに含まれていなかった転写因子で存在が確認されるものを仮説として抽出することに成功している (本成果はFMMB2014に採択済み). (2) SBGN-AFと呼ばれるシステム生物学のモデリング言語を形式化する課題に取り組んだ.フランスLRIとの日仏共同研究の体制の中で実施し,本年度は,システム生物学の形式手法に関するワークショップをLRIにて開催した (本成果は Handbook ``Logical Modeling of Biological Systems" に採録済み).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
仮説推論による分子ネットワーク上の知識発見の課題については,日仏共同研究体制の中で新しい応用を含めて成果が出始めており,おおむね順調に進展している.逆包摂法に基づく仮説推論のスケーラビリティ向上に向けた課題は,逆包摂法とオンライン近似アルゴリズムを融合した新しい仮説推論の枠組みを検討するに留まっており,計画よりやや遅れている.最終年度に向けて,特に検討段階に留まっている後者の課題についてきちんと成果を出していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究プロジェクトの最終年度にあたる.仮説推論による分子ネットワーク上の知識発見の課題については,日仏共同研究体制の枠組みの中で,SBGN-AF ネットワークモデルへの応用課題を計画通り推進する.また,仮説推論のスケーラビリティ向上に向けた研究取り組みについては,昨年度の検討結果をふまえ,仮説推論と頻出パターンマイニングをつなぐ理論体系を整備するとともに,昨年度,SIGMOD2014で発表し,世界的にも評価されているリソース指向近似計算法のスケーラビリティ向上に向けた研究課題を推進する.
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Causes of Carryover |
購入を予定していた物品実費と予算との間に差額が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,本研究課題に関わる書籍購入費用として利用する
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Research Products
(4 results)