2014 Fiscal Year Annual Research Report
情報集約による日常生活の構造的理解のための情報処理システムの開発
Project/Area Number |
25730143
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北村 光司 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間情報研究部門, 主任研究員 (50509742)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | データ融合 / 正準化 / 写像 / リマップ / リスクマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会に薄く広く存在しているために統計的な分析による問題把握が困難であった対象に対して、それぞれの環境における重要な特徴を保持しつつデータを集約して分析可能なシステムを開発することで、認識されていない問題、稀な現象と誤認されている問題、潜在的な問題を発見することを支援することを目指している。2年目は、初年度開発したソフトウェアに具体的な現場のデータを入力して分析することで、問題点の把握が可能であるかを検証した。具体的には、複数の介護施設の浴室での事故やヒヤリハットのデータをソフトウェアに入力し、各浴室の特徴を保持したまま集約して分析を行った。その結果、例えば「シャワーで体を流した後に立ち上がらせようとしたときに、シャワーホースを掴んで立ち上がろうとし、シャワーが破損したり、転倒する」という状況の事故が複数個所で起きていることが分かった。また、類似した状況で「浴槽内から立ち上がる際に、蛇口を掴んでしまい、蛇口の破損や熱いお湯の配管を触ってしまう」という事故状況も複数個所で見られた。また、「石けんなどの泡や水が排水溝に流れていく部分が、移動経路上にあると転倒する」という状況の事故が異なる環境で共通して起きていることが分かった。このような、同種の環境で共通して起きる事故を把握して対策することはもちろん重要であるが、現場で事故データを活用しやすくするには、他の施設で起きた事故データを自分の施設の環境に合わせて提示できることが有用であるとの現場からの意見を参考に、現場の環境特徴を定義することで、他の施設で起きた事故データを検索してマッピングするシステムの開発も行った。このように研究者や分析者が使えるシステムだけでなく、現場にフィードバックを返せるシステムにすることで、データ入力の意味が現場で感じられるようになる、という社会実装する上で重要なシステムを開発することができた。
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