2014 Fiscal Year Research-status Report
意思決定問題における最適解の数理的な妥当性を保証するメンバシップ関数構築法の開発
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25730146
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓮池 隆 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (50557949)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ファジィ理論 / メンバシップ関数 / 情報理論 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
実社会には,非数値情報に対する人の感性評価を考慮した意思決定が必要であり,それを数値・関数化して導入した数理計画問題の解を意思決定支援として利用する場合には,数値・関数化の妥当性を保証する必要がある.非数値情報の数値・関数化の1手法であるファジィ理論を利用したメンバシップ関数構築法においては,これまで主観的な構築法が多く,意思決定支援に直接利用することは困難であった.そこで,本研究において,情報理論とファジィ理論を融合した構築法を開発することで,理論的妥当性を有するメンバシップ関数構築法を開発し,理論・応用の両面からファジィ理論の意思決定分野への発展を促すことを目的としている. 前年度までの研究成果で,意思決定者が自信を持って設定できる,ある事象が特定の集合に完全所属・非所属部分を確定させ,それ以外の関数補間部分に実社会のデータと情報理論におけるエントロピーを適用することで関数構築を行っていた.しかし前年度までは,メンバシップ関数では一般性はあるものの,S-curve関数という特定の関数形を利用した関数構築しか開発できていなかった. 平成26年度においては,特定の関数形を考慮することなく,妥当なメンバシップ関数を構築できるよう,関数補間部分に一般平滑化関数を導入し,エントロピーだけでなく平滑化も考慮した目的関数を設定し,両方を最適化することで特定に関数形に依拠しないメンバシップ関数構築法を開発した.これによりある人の非数値情報に関する感性を柔軟に関数として表現することが可能となった.さらにこれらの研究成果を人が主体的に意思決定を行い,かつ今後意思決定支援の必要性が増すと考えられる観光分野へ適用を行い,平成26年度は個人観光経路における意思決定支援モデルを構築した.また次年度への構想としてサプライチェーンにおける不確実性のあり方も検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要でも示したように,メンバシップ関数を柔軟かつ妥当に設定できる構築法は,ファジィ理論の著名な国際会議でも採択され,一定の評価を受けていることがわかる.またこれを応用した観光分野における意思決定に関しても,多くの国際会議で採択され,そこでの議論を深めることで,研究のさらなる発展が期待されている.さらに,これらの成果が統計数理研究所の報告書としてまとめられ,広く広報活動も行っている.平成27年度に向けては前年度までの成果を論文誌に投稿・発表するとともに,より意思決定支援に即したメンバシップ関数の構築法を開発し,実社会の応用へ向けた研究の深化を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度・26年度に引き続き,メンバシップ関数構築法の妥当性を,特に意思決定支援の観点から向上させていく.26年度で特定の関数形を考慮しない構築法を提案したが,平滑化関数が区分的不連続な関数で設定した.意思決定支援において,数理計画問題として取り扱う場合,連続関数であることが計算効率性,最適解の求めやすさからも望まれる場合が多い.よって,一般連続型非線形関数を区分線形近似した関数形を用いることで,連続関数の利点を平滑化関数の理論を融合することが可能となり,これを中心にメンバシップ関数構築法の開発を行う. さらに,意思決定への応用として,観光分野においては,観光者への情報支援に重点をおき,訪日外国人や初めてその土地を訪れる観光者がストレスなく,かつ満足度の高い観光ができるような情報提供の仕組み作りを,数理計画・最適化の立場から実践していく.また観光分野以外の研究として,本年度でも既に構想を発表しているが,熟練者の勘が必要でありながら合理的な生産が求められている農業サプライチェーンマネジメントへの応用を検討する.
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Research Products
(5 results)