2013 Fiscal Year Research-status Report
環境磁場に基づく移動ロボットの自律ナビゲーション法の開発
Project/Area Number |
25730162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
サム・アン ラホック 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 助教 (30633870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁気マップ / 環境磁場 / 自律ナビゲーション |
Research Abstract |
本年度の目的は、磁気マップの作成法を改良し、より安定な自律ナビゲーション法にする事であった。磁気マップの作成法に関しては、従来法である1台の磁気センサを利用して作成する方法から、3台の磁気センサを横に並べて作成する方法に変更した。そのため、ロボットに取り付ける場所の調査およびキャリブレーション(磁気センサ値の校正)を行う必要があった。設置位置の調査ではロボットの内部部品が動作していないときと、動作しているときの磁気センサの出力を比較し、平均差分が最も小さい位置を見つける事にした。その結果、ロボットの前下部、地面から0.2mの高さとロボットの中央、地面から0.5mの高さにある位置が最も適切な場所である事が分かった。キャリブレーションは、本校のサッカーグラウンドにおいて磁場影響が少ない場所を磁気メータで見つけ、その場所にロボットを持って行き、行った。 磁気マップ作成および自律走行では、まずロボットの中央に磁気センサを取り付けて行った。結果は従来法に比べてより安定な走行ができたが、センサを設置した高さが高いため、地中に埋められたマンホールや配管などの大きな磁性体以外からの磁場を検知する事ができなかった。そのため、横ズレを修正できる場所は大きな磁場が生じている場所のみに限った。この弱点によって我々のロボットはつくばチャレンジ2013という自律ロボット公開実験場において完走を逃した。しかし、1.6km以上自律走行に成功したことが評価され、その結果をまとめて作成した技術論文が採択された。 その後、磁気センサをロボットの前下部に3台取り付け、磁気マップ作成および自律走行実験を行ってきた。センサの高さが低いためより多くの地中に埋められた磁性体からの磁場を検知する事ができ、より安定した自律走行に改良できた。その結果をまとめて、10月に東京で開催する国際会議(GCCE2014)に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的である磁気マップ作成方法の改良および、より安定な自律ナビゲーションへの発展を達成することができた。また、本手法を用いたロボットはつくばチャレンジ2013において1.6km以上の距離を自律走行することに成功し、その有用性を示した。さらに、これまでの結果を、2本の国際会議論文(そのうちの1本は現在投稿中)と1本の技術論文としてまとめた。これにより、本年度はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
環境中の磁場は比較的安定しているが、建築物や自動車などの磁性体の移転といった環境変化によって磁場強度が変動してしまう。そのため、座標上に磁場強度を記録しただけの磁気マップでは対応できない場合が容易に想定される。従って、本手法の今後の課題は磁性体の移転による環境磁場の変動への対応である。そこで、今後ロボットが磁気マップを基に自律ナビゲーションを行う度に、毎回新たな磁気マップを作成する。元の磁気マップを新たに作成した2つ以上の磁気マップと比較し、新しい磁気マップに同じ変動があった場合のみ、それらを使って元の磁気マップを更新する。これにより、磁場の変動に対応できるはずである。そして、多様な環境において実験し、本手法の評価を行う。最後に、結果をまとめて学会発表論文及び技術論文として投稿したい。
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