2013 Fiscal Year Research-status Report
片麻痺患者の協調運動機能の回復と獲得を支援する装着型ロボットの開発
Project/Area Number |
25730163
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
Principal Investigator |
尾形 邦裕 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 流動研究員 (40641436)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 装着型力覚提示ロボット / スキル獲得アシスト / リハビリテーション支援 |
Research Abstract |
基盤技術開発として,DCモーターを用いて力覚提示を行うシステムの開発を行った.また,加速度,角速度,地磁気センサを用いて装着者の姿勢を推定するシステムの構築を行った.また,目標姿勢に追従するように仮想的なコンプライアンスを与えるアルゴリズムを提案し,動力学シミュレーション上で検証実験を行った. 続いて,上記の力覚提示を行うデバイスと姿勢センサシステムを組み合わせて,運動スキル提示実験を行った.はじめに,上肢運動を教示する実験を行った.ここでは粗大運動を対象とし,肘の屈曲,肩の外旋,リーチングの三種類について扱った.その結果,肘の屈曲運動ではどの被験者においても運動誘導が可能であったが,複数の関節を動かすリーチング運動では被験者間の分散が見られた.続いて,下肢運動に対する運動教示実験を行った.片麻痺者は歩行において左右で非対称な歩行を行うことで健側に関節痛などの疾病を患うことがある.そこで,この非対称な歩行を改善することを目的とした実験を行った.ここでは姿勢センサではなく,足裏に力センサを取り付け,この力センサの情報をフィードバックすることで姿勢教示を行った.単純な立位姿勢だけではなく,歩行動作にも適用させるため,左右の床反力の積算値を用いることで歩行状態でも足裏に掛かる力の左右差を認識できるようにした.また,身体において力覚を提示する位置を変更し,比較を行った.実験の結果,この実験でも被験者間での分散が見られ,提示位置よりも被験者間の分散が問題となった.このことから,運動スキルを教示する際に力覚提示という方法を再検討する必要があると考えた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書にある力覚提示デバイス,姿勢情報の取得,タブレット端末を用いた状態観測と制御の開発は実現された.次に,シミュレーション上ではあるが仮想的なコンプライアンスを与えるアルゴリズムが実現されている.更に,上肢及び下肢に対するモジュールの開発と簡単な検証実験が行われた. 以上から,おおむね研究は進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に述べたように,当初予定していた力覚提示方法では個人間の分散が大きく,安定してスキル獲得支援を行うことは困難であることが分かった.そこで,作業療法士と相談した結果,力覚以外のモーダルを活用することとした. 現在検討している方法として,音声による教示と映像による教示である.これまでと同様,姿勢センサを装着してもらい,目標と異なる姿勢となると音声あるいは映像によって注意喚起を行う.音声提示では装置を常時携帯できるため,日常生活の中で注意喚起が可能になる.映像提示では,音声より豊富な情報が与えられるため,人の機能解剖学に基づく協調動作など複雑な運動を直感的に教示できると考えられる. そのため,「人の機能解剖学に基づく全身協調動作法」は当初の予定通り開発を進める.また,提示情報を調整可能にすることで「個人の障害に適応したリハビリテーション法」についても予定通り開発を進める.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度において,開発した装着型ロボットの力覚提示手法では運動スキルの獲得支援が困難であることが分かり,適切な教示手法の検討を行う必要が発生した.そのための,事前調査,医療系専門職との綿密な打合せを先に行うことで,限りある予算を有効に活用するべきと判断したため. 検討の結果,今年度は音声や映像を活用した新しいスキル提示システムを構築するため,それに必要な機器,計算機,携帯情報端末(タブレットなど),電子部品等を購入する.
|
Research Products
(6 results)