2013 Fiscal Year Research-status Report
人間とコンピュータの深いインタラクションを指向した感性演出オントロジーの開発
Project/Area Number |
25730170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村松 慶一 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (30634274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オントロジー / ヒューマン・コンピュータ・インタラクション / 色彩感情 / 共感 |
Research Abstract |
本研究の目的は,深いレベルでの人間とコンピュータのインタラクションを設計する方法の開発である.本研究の課題は(1)感性や感情の心理的な反応に関するオントロジー構築,(2)インタラクションにおける共感的・同調的反応の検証である.平成25年度は色彩科学の知見を整理しオントロジーを構築すると共に,試作したオントロジーにおいてインスタンスモデルの導出が適切であるかの検証を行った.まず,オントロジーの構築に関しては,文字配色に関する色彩感情に関する印象評価実験,表現媒体の違いにおける色彩感情の構造的な比較等を行った.その結果,それぞれにおいてオントロジーを構築する上で指針となる結果を得ることができた.その上で,心理量の概念を定義することで色彩感情に関わる知識の表現の精緻化を行った.また,本研究のオントロジーを用いた共感の演出場面として,具体的に学習者と学習支援システムとのインタラクションを検討中である.そのため,学習者の心的状態と感情理論の概念化を行った.具体的には,学習に関連する感情概念と,それを特徴付ける理論の構成概念の定義である.これは色彩感情を表す性質の概念を中心にして,心理測定データと理論の両者の関係を明示することに有用であると考えられる.次に,インスタンスモデルの導出については,評定尺度を用いて色彩感情を測定した文献を収集し,具体的な心理量がオントロジーに基づいて表されることを確認した.オントロジーで定義した意味制約に基づいて測定データを検索した結果を可視化するツールの作成については,オントロジーエディタなどの関連ツールとの連携を含めて仕様を検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オントロジー構築において,色彩感情を表現する概念,ユーザの状態を表現する概念の整備については順調に進んでいる.一方,オントロジーに基づいて測定データを検索・可視化するツールの作成についてはオントロジーエディタなどの関連ツールとの連携を含めて仕様を検討中である点で若干の遅れが認められる.その理由として,オントロジーの具体的な利用場面を検討中であり,それに伴って具体的な連携ツールも検討中ることが挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,インスタンスモデルである知識表現とオントロジーを対応付ける作業を行った上で,コンピュータに人工的な感性を演出するインタラクション実験を行う.感性を演出する手続きは,オントロジー上に記述されている概念から任意のものを指定し,それに対応するインスタンスモデルの処理をコンピュータに行わせるというものである.まず,インスタンスモデルである色彩感情の測定データをオントロジーにマッピングする.その際のデータには,統計モデルによる色彩感情の予測に用いられているものを予定している.次に,インタラクション実験を行うために,マッピングした測定データを検索し,その結果をエージェントに表現させる予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は生じたのは,国際会議の旅費として使用を予定していた分である.研究成果について国際会議への投稿を行ったが,Rejectされたため予定回数の発表を行うことができなかった.その結果として1回分の国際会議出張旅費を次年度に繰り越すこととした. 次年度では,Rejectされた原稿を見直し,改めて国際会議で発表を行う予定である.その際に,かねてより予定されていた国際会議の他に,近縁の分野における他の会議も視野に入れて,広く研究成果を発表する予定である.
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