2013 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の自動量子化学計算法と電子状態DBの開発
Project/Area Number |
25730174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 敏行 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60451887)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子化学 / 密度汎関数法 / タンパク質 / 電子状態 |
Research Abstract |
PDBに登録されているタンパク質構造を取得し、自動的に量子化学計算に適したモデリングと量子化学計算を実行する基盤研究を行った。PDBに登録されているX線結晶構造解析によるデータには水素原子が付加されていない場合が多い。また構造ゆらぎが大きく原子座標が欠損したデータになっている場合がある。欠損原子の存在は量子化学計算に適さないため、これをなるべく自動的に付与するシステムが必要である。また、モデリング構造の歪みや異常接近原子対に対応するための構造緩和手法の開発も行った。Pythonを用いた基本システムは開発したが、自動的にモデリングを進めるために、さまざまなタンパク質でのモデリングをテストしている。 また、巨大なタンパク質の電子状態を安定して解くために、QCLO法に基づく初期値作成法の研究を行った。QCLO法ではサブユニットの電子状態を求めるために大量の電子状態計算が必要である。大量の電子状態計算を高速に行うために、コレスキー分解法に基づく電子状態計算法を開発した。SCF繰り返し計算中に計算コストの高い分子積分の代わりに、BLASなどの行列演算を利用するため、分散メモリ型並列計算機においても高速に電子状態を求めることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pythonを開発言語としたモデリングシステムを構築した。とはいえ、金属や特殊なアミノ酸残基を含むタンパク質モデリングのテストがまだ不十分であり、多くのタンパク質についてモデリングが十分というわけではない。すべてのPDB登録構造に対して全自動でモデリングすることは難しいものの、なるべく自動的に計算構造を構築できるようにしたい。計算構造の妥当性は目視だけに頼るのは難しく、実際の量子化学計算を行う必要がある。タンパク質のような巨大分子の量子化学計算は依然として計算コストが高く、計算時間に数週間要することが多い。そのため、構築したモデリングシステムのテスト数が不十分と考えられ、継続してテストを行う必要がある。 一方、タンパク質の安定した量子化学計算を達成する技術として、コレスキー分解に基づく計算法が開発できたことにより、分散メモリ型並列計算機でも効率良く電子状態を求めることが可能になった。申請時に比べて大幅に計算時間を短縮することができるようになったため、今後モデリングシステムのテストが効率的に実施できると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発中のモデリングシステムのテストを継続して行うとともに、タンパク質電子状態計算結果をデータベース化し、公開を目指す。 タンパク質量子化学計算モデリングシステムは、平成25年度開発システムをベースに、コレスキー分解法に基づく計算手法を取り入れ高速した計算モジュールを採用したシステムを構築する。金属タンパク質を含めたテストを継続して行い、自動モデリングシステムの精度向上を図る。 また、タンパク質電子状態データベースについて、データベース設計・構築を行い、インターネット上での公開を見据えたウェブインターフェースを開発する。計算結果を随時登録し、タンパク質電子状態を横断的に解析できるツールの開発も行う。
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Research Products
(5 results)