2014 Fiscal Year Research-status Report
知識共有コミュニティの持続的発展のためのインセンティブ・インタラクションデザイン
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25730185
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山田 和明 東洋大学, 理工学部, 講師 (80345149)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 知識共有コミュニティ / 評判情報サイト / インセンティブ・インタラクションデザイン / 制度設計 / インタラクション・パターン / マルチエージェントシミュレーション / 感度分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Q&Aサイトや動画共有サイトといった知識共有コミュニティは,多くのユーザがウェブを介して新しい知識を共創する場として注目されている.各コミュニティは,より多くのユーザに参加・貢献してもらうためにポイントやランキングなど様々な制度を導入している.しかし,導入した制度によって持続的に成長する場合もあれば,衰退しサービスを終了する場合もある.この原因は,個々の制度がユーザに与える影響は極めて小さいが,ユーザがこれらの制度を長期間利用することで,コミュニティに参加するユーザや共有されるコンテンツの数・種類・質が変化するため,予め適切に制度を設計することが困難なためである.本研究では個々の制度がコミュニティ全体の挙動に影響を及ぼすメカニズムをマルチエージェントシミュレーションにより解明し,知識共有コミュニティにおける制度設計の方法論を確立することを目的としている. 26年度は,25年度の研究成果を基にユーザが制度を利用することで得られる効用を利得関数として定式化し,食べログなどの評判情報サイトをモデル化したマルチエージェントシミュレーションを構築した.そして,計算実験を通して利得関数およびエージェントモデルの詳細設計を進めている.また,既存のコミュニティに導入されている様々な制度がどのようなユーザインタラクションを組み合わせて構築されているのか可視化・比較するために,既存コミュニティの制度を類型化し,インタラクション・パターン・ライブラリの構築を進めている.このライブラリを利用することで,新しい制度を設計するとき,どのようなインタラクションを組み合わせれば良いか検討しやすくなると期待できる.26年度の研究成果は,robomech2014,FAN2014,SII2014といった研究会において発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は,25年度の研究成果を基にユーザが制度を利用することで得られる効用を利得関数として定式化し,マルチエージェントシミュレーションを構築した.また,新しい制度を設計するためのツールとしてインタラクション・パターン・ライブラリの構築を進めており,研究は概ね計画通り進んでいる.しかし,構築したマルチエージェントシミュレーションの動作を確認するために,エージェント数や繰返し回数の規模を抑えて検証したため,大規模なコミュニティの挙動をシミュレーションするまでは至っていない.27年度はエージェント数や繰り返し回数の規模を拡大し,大規模なコミュニティの挙動がどのような状態に収束するのか,また,コミュニティの規模が拡大するにつれてコミュニティに参加するユーザや共有されるコンテンツの数・種類・質がどのように変化するのか,を感度分析を通して解析を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は,26年度に構築したマルチエージェントシミュレーションのエージェント数や繰返し回数の規模を拡大することで,既存のコミュニティに参加するユーザや共有されるコンテンツの数・種類・質が変化するメカニズムの解明を進める.また,コミュニティにとって望ましいユーザ行動を誘発する新しい制度を設計するために,提案しているインタラクション・パターン・ライブラリを用いて様々な組合わせを検討し,マルチエージェントシミュレーションと感度分析によって事前に制度の効果や課題を検証する仕組みを構築する予定である.そして,本課題の研究成果をまとめ研究会および学会論文誌などを通して公表する.
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Causes of Carryover |
海外の国際会議での成果報告を予定していたが,学内業務などの諸事情により国内の国際会議で成果報告を行ったため,旅費に余りが生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は,研究成果を国内外の学会発表および投稿論文などを通してより広く一般に報告することで,旅費や投稿料などを計画通りに消化する予定である.
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