2015 Fiscal Year Annual Research Report
オープンソース開発者の属性と開発様式の関係性に関する調査研究
Project/Area Number |
25730196
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
八田 真行 駿河台大学, 経営経済学部, 講師 (70608893)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オープンソース / オープンデータ / ソフトウェア開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オープンソース・ソフトウェア(およびハードウェアやオープンデータ)の開発に参加する開発者のデモグラフィックな属性やモチベーションと、開発プロセスの「様式」(開発の具体的な進め方、ポリシー等)の関係者に関して分析を行うことを目的としている。開発者の属性や開発プロジェクトの成熟度に応じて最適な開発様式が存在し、それがプロジェクト全体のパフォーマンスに影響するとの仮説に基づき、入手可能なデータを用いて検討を行った。過去と現在に関して経時的な比較を行い、オープンソースの草創期と、すでに人口に膾炙した現在で、開発者の志向にどのような違いが出てきたかを明確にすることを目指した。 最終年度においては、引き続き日本の主要なオープンソース開発者および関係者に聞き取り調査を行うと共に、ドイツ・ベルリンにおける開発者ミーティングに参加し、意思決定過程の参与観察や開発者インタビューを行った。加えて、様々なオープンソース開発プロジェクトのメーリングリスト・アーカイヴから得られたデータを、共起ネットワークや自己組織化マップによって分析した。これにより、各プロジェクトの関心事や「ソフトウェアの自由」等の主要な論点に対するスタンスの変化を、経時的、計量的に把握することが可能となった。結果として、プロジェクト間や当事者間でのスタンスの「ずれ」は従来考えられていたよりも早い時期(2000年ごろ)から進んでおり、それが2008年ごろを境に様々な形で表面化したことが判明した。 また、近年ではいわゆる「アノニマス」運動で見られるように、「ソフトウェアの自由」の概念を更に先鋭化させた動きも活発となっている。これについてもリベレーション・テクノロジー(Diamond 2010)のフレームワークを用いて分析した。今後はこうした知見を反映させてアンケートを改良・実施し、研究をさらに進めていく予定である。
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