2015 Fiscal Year Annual Research Report
貨幣の情報化が既存の貨幣機能(価値・交換・貯蔵)と社会システムに及ぼす影響
Project/Area Number |
25730200
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
法雲 俊栄 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (30550503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融 / 経済 / 貨幣 / AHP / 意思決定 / 電子マネー / 仮想貨幣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度は、アンケート調査を実施し、様々な機能を持つ貨幣の意識調査を行い、貨幣、電子マネー、仮想通貨等の様々な貨幣形態・機能が、複雑な貨幣構造、金融問題、社会問題を引き起こす要因になっている事を指摘した。 こういった情報システム上で電子貨幣が流動することは、経済学的な定義において本来の交換手段、価値尺度の貨幣システムを取り戻すといった楽観視的な理論もある。しかし、広義的な考え方において貨幣の持つ定義が大きく変化しようとしている。 特に、ネットワーク上の貨幣流動においては、貨幣の3定義「①交換手段」、「②価値尺度」、「③価値貯蔵」がある中で、3つ目の機能である「③価値貯蔵」が高まる。これにより、仮想通貨に対する課税制度の問題やテロ・犯罪等の収益で集められたお金の錯乱を行う格好の場として利用されており、所謂「貨幣洗浄」の機能として働く可能性が危惧される。情報化された貨幣は、紙面上に印刷された従来の貨幣形態から物理的に実体の掴めない、お金の所在や履歴を説明できない性質へと変化している問題がある。 情報化された貨幣は、紙面上に印刷された従来の貨幣形態から物理的に実体の掴めない、お金の所在や履歴を説明できない性質へと変化している問題が指摘できることを学会で報告し、高度情報化社会における貨幣構造と社会的秩序の深い関係について指摘した。
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