2013 Fiscal Year Research-status Report
暑熱障害発生リスク評価のための広域温熱環境モニタリング手法の開発
Project/Area Number |
25740030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 山梨県富士山科学研究所 |
Principal Investigator |
赤塚 慎 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (80548743)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温熱環境指標 / 熱中症 / リモートセンシング / GIS / MTSAT |
Research Abstract |
平成25年度は、衛星リモートセンシングデータ及びGISデータを用いて、温熱環境指標の推定モデルを構成する各種変数の分布図の作成を行った。 地表面温度(LST)は温熱環境指標の推定モデルを構成する重要な変数の一つと考えられ、衛星リモートセンシングデータから正確にLSTを推定するためには, 大気補正に必要となる大気水蒸気量(可降水量)データが必要不可欠である。本研究課題では気象衛星ひまわり(MTSAT)データからLSTを推定する予定であるが、 MTSATデータを用いて毎時のLSTを推定する際には, MTSATの観測範囲に対応した毎時の大気水蒸気プロダクトが必要となる。そこで、標高データと各等圧面及び地上での再解析プロダクトを用いて、MTSATデータを用いたLST推定に適した高解像度化再解析可降水量プロダクトを作成した。 同様に日射量も温熱環境指標の推定モデルを構成する重要な変数の一つと考えられることから、GISソフトを用いて毎時の晴天時全天日射量分布図の作成を行った。 さらに、相対湿度も温熱環境指標の推定モデルを構成する変数の一つと考えられることから、衛星リモートセンシングデータから推定した可降水量データを用いて地表付近の相対湿度分布図を作成するための基礎研究として、GPS可降水量から地表付近の相対湿度を推定する手法を検討した。 最後に、次年度は温熱環境指標推定モデルから推定した温熱環境指標と暑熱障害発生件数データとの関連性を検証し、暑熱障害発生リスクに基づく評価基準を検討する予定であることから、山梨県における2004年から2012年までの熱中症による救急搬送者データと気象観測データを利用して山梨県における熱中症発生の実態把握を行い、熱中症の発生には気象条件の違いの他に人口構成や主要産業等が影響を及ぼしている可能性があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、温熱環境指標の推定モデルを構成する各種変数の分布図を作成し、温熱環境指標の推定モデルを導出する予定であったが、解析対象期間(2007年~2012年)を長く設定しすぎたため、各種変数の分布図の作成に時間がかかり、温熱環境指標推定モデルの導出までに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に終了できなかった、温熱環境指標推定モデルの導出を行う。分布図等の作成時間を短縮するため、解析対象期間を2010年~2012年に変更する予定である。 次に、リモートセンシングデータ及びGISデータを用いた温熱環境指標推定モデルから推定した温熱環境指標と暑熱障害発生件数データとの関連性を検証し、暑熱障害発生リスクに基づく評価基準を検討する。このとき、温熱環境指標推定モデルから推定した温熱環境指標と暑熱障害発生件数データとの関連性が最も強くなるように、温熱環境指標推定モデルの変数の組み合わせを変更しながら検証を繰り返す。平成25年度の研究成果から、熱中症の発生には気象条件の違いの他に人口構成や主要産業等が影響を及ぼしている可能性があることが明らかになった事から、気象条件を反映する温熱環境指標と暑熱障害発生件数データとの間には明確な関連性がない可能性も予想される。したがって、新たな変数を導入する等して対処する。なお、解析対象期間を2010年~2012年に変更する予定であるが、残りの研究期間を考慮しながら、温熱環境指標推定モデルの導出から暑熱障害発生リスクに基づく評価基準の検討までを一年毎に行い、時間に余裕があれば解析対象期間を広げて行く。 最後に、温熱環境指標推定モデルから1時間毎の日本全域の温熱環境指標分布図を作成し、データベースとしてWWW上での公開を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
投稿論文別刷料の請求が遅れており、当該年度中に支払いが完了しなかった。 購入予定であった書籍を購入しなかった。 当該年度に支払いが行われなかった投稿論文別刷料の支払い及び書籍の購入に充てる予定である。
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