2014 Fiscal Year Research-status Report
放射光鉄形態解析を利用した鉄電解型浄化槽におけるリン除去の制御
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25740035
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
見島 伊織 埼玉県環境科学国際センター, その他部局等, 専門研究員 (00411231)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 排水処理 / 浄化槽 / 栄養塩除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は実際に稼働しているリン除去型浄化槽5基について、鉄電解量をはじめとする条件を変化させるなど1年以上の長期フィールド調査を行い、リン除去性能に与える影響を考察した。さらに、平成25年度の検討で明らかにしたCaによるリン除去の向上の影響を明らかにするための鉄電解汚泥の放射光分析を平成25年度に引き続いて行い、リンと鉄の結合形態などを考察した。フィールド調査の結果、鉄電解量はリン除去性能に大きく影響しており、鉄電解量を増加させることで処理水リン濃度が低減することが明らかとなった。ただし、安定的なリン除去を得るためには、理論的な鉄電解量よりも多くの鉄量を必要としていた。これらの浄化槽では、これまでに検討したCaの濃度がリン除去の律速とならないような高濃度であることから、Ca以外の因子もリン除去に大きく影響する可能性が示唆された。また、リン除去メカニズムの解析のため、浄化槽汚泥試料について立命館大学SRセンターBL-3にて、XAFS(X-ray absorption fine structure)測定を行った。これらにより、放射光分析に最適な前処理条件の選定をし、実浄化槽の各槽の鉄形態の情報を得た。このように、平成26年度は、長期のフィールド調査により、それぞれの条件で多くの頻度で水質測定等を行い、鉄電解によるリン除去について詳細に明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画である実浄化槽のリン除去形態の解明については、岐阜県や埼玉県の浄化槽を中心に十分な調査を行っている。一方で、平成26年度以降の研究計画である基礎的リン除去機構の解明については、純水試料や浄化槽処理水試料などを用い、当初の計画以上の室内回分実験をすでに実施済みである。このように、フィールド調査や基礎的室内実験において精力的なデータ収集をし有益な情報を得ていることから、十分な達成度を有していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在実施中の埼玉県内の浄化槽のフィールド調査を継続して行う予定である。また、これまでに行ってきた基礎的回分試験を応用し、本浄化槽の汚泥を用いることで浄化槽に蓄積した汚泥によるリン除去能力について実験的に検討する予定である。これらの情報を基に、リン除去制御手法の解明に関する動力学モデルを用いた解析を進める。さらに、本研究期間に得た知見を総合的に解析し、フィールド調査の水質と比較検証することで、リン除去安定化の実験的検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
立命館大学客員研究員として大学からの招聘にあわせて、立命館大学SRセンターで室内実験や放射光測定を行うことができたため、物品費の使用が当所の計画よりも削減されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
埼玉県内における浄化槽の調査のため、水質調査などの委託費に充当する予定である。
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