2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25740042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金 キョンヘ 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80577859)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 浚渫土 / 資源化 / アルカリ性材料 |
Research Abstract |
当該年度では浚渫土とアルカリ性材料の混合による浚渫土改良機構を検討した.浚渫土は有機物の起源(植物プランクトン起源,下水起源)によりその性状が大きく異なり,浚渫土のリン資源としての利用可能性が異なることが明らかとなった.また,アルカリ性材料を浚渫土と混合することで酸性土の中和,酸化還元電位の増加や上澄み水のDO濃度上昇が確認された.浚渫土の間隙水のリン酸はアルカリ性材料により吸着されその濃度が減少し,その結果,上澄み水への溶出量も減少した.アルカリ性材料の混合よるpHの増加は硫化還元菌の活動を抑制し,生物の生息に有毒な物質である硫化水素濃度を減少させることができた.アルカリ性材料の混合よる浚渫土の透水性の変化はなかったものの強度の増加は確認できた. 当該年度の成果として,アルカリ性材料の混合による浚渫土の性状変化を明らかにし,浚渫土の資源化するための改良方法を提案した.また,アルカリ性材料の混合が浚渫土の改良期間中に発生する悪臭や虫の大量発生などの問題の解決にも効果的であることが確認できた.これらの結果は浚渫土をリン肥料として利用するための基礎データとしても重要な価値がある。 これらの結果が実用化されると,枯渇危機にあるリン資源としての浚渫土の新たな利用方法を提案することができる。また,日本の安定的なリン供給源を確保することができ,農業の国際競争力を高めることができる.最終的には,食糧供給に必須なリン資源の確保から,人類の食糧問題にも大きく寄与できることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では近年資源不足が問題視されるようになってきたリンが大量に含まれている海起源の浚渫土をリン資源として農業に使える資源化技術を開発することを目的として,①嫌気性分解により酸性化,還元化された浚渫土の中和技術,②含水比減少に伴う浚渫土地盤強度の増加技術,③害虫の発生を抑えるための間隙水中の栄養塩濃度の低下技術,④有毒物質である硫化水素の発生および溶出抑制技術,⑤除塩技術の開発を行う.上記の開発された技術を基に⑥アルカリ性材料を混合した浚渫土地盤での植物成長速度の調査,⑦アルカリ性材料を混合した浚渫土からの重金属の溶出量などの安全性の検討や,⑧浚渫土とアルカリ性材料の最適な混合割合の提案する. 当該年度では①~⑤まで研究を進め,①~④の実験では浚渫土の資源化を向けての期待された成果が得られた.しかし⑤の除塩技術の開発については塩分除去に大きく影響するアルカリ性材料の混合による透水性の変化が見られなかった.アルカリ性材料による間隙水の吸収がその原因であり,来年度は問題点を改善した追加実験を行い,その技術を完成する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は①浚渫土の除塩技術の確立,②アルカリ性材料を混合した浚渫土地盤での植物成長速度の調査,③アルカリ性材料を混合した浚渫土の重金属濃度などの安全性の検討や,④浚渫土とアルカリ性材料の最適な混合割合の提案を行い浚渫土の資源化の技術を完成する. 湿潤状態のアルカリ性材料を利用することでアルカリ性材料による浚渫土の間隙水の吸収を抑え除塩実験での問題を解決することができる.まだ除塩技術が完成できてないため,改良浚渫土を用いた植物成長速度実験においては陸上植物の中で塩分に強いトマトや浅海域に生息するアマモを対象に生長速度の変化を調べる予定である.実験後,利用した浚渫土の重金属濃度を検討した後,今までの結果をまとめて浚渫土とアルカリ性材料の最適な混合割合を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
広島大学所在の竹原水産実験場の施設を利用することができ、購入予定であった実験装置の一部を購入する必要がなかったため次年度使用額が生じた。 情報収集のための学会参加、追加実験に必要な試薬の購入に使用する計画である。
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