2014 Fiscal Year Research-status Report
生態系サービス提供ユニットフレームワークによる自然再生の意思決定支援モデル構築
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25740047
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
吉岡 明良 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (80633479)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生態系サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から継続した調査によって、履歴の異なる湿地(数十年前に掘削されて成立した新しい湿地と泥炭層が蓄積している古い湿地)でミズゴケの成長量が異なることが確認された。新しい湿地のミズゴケ種は泥炭を形成する種ではないが、成長量が大きいため、ある程度採集して園芸資材用に活用することも可能と考えられる。一方、古い湿地のミズゴケは成長量が比較的小さいが、泥炭を形成する種であるため、なるべく手をつけず炭素固定という生態系サービスを提供させるのが効率的であると考えられる。季節による成長量の推移についてもある程度知見を得ることもできたため、パラメータをより適切に設定することができたと考えられる。野外踏査・調査を行い、対象地域(黒松内町)内の水田を含む湿地環境が昨年度と大きく異なってないことを確認できた。また、比較的高解像度(~5m)な衛星画像を入手するとともに、イトトンボの調査結果及び耕作放棄地の位置情報データを電子化し、GISを用いて解析可能な状態にすることができた。 また、現状水田のほとんどが喪失してしまっている黒松内町で、2000年以前の植生図を基に、水田の存在を重視した景観不均一性指数(さとやま指数)を計算することで、かつて水田等があったことで得られてた農地景観の不均一性を地図上に可視化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的な調査によってミズゴケのバイオマス生産モデルの改善に必要なデータは取得できた。また野外踏査・調査によって環境が大きく変化していないことを確認できたため、短期的なバイオマス生産予測のために生産モデルの構造を大きく変える必要がないことも確認された。そのため、今年度は必要最低限のデータを継続的に取得しつつ、モデルの精緻化、統合に専念できる段階に達したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
既存のGISデータ、衛星画像データ、現地調査によるミズゴケの成長量のデータ、トンボ類の分布データ等、複数の空間スケールにまたがるデータをそろえることができた。また、ミズゴケに関しては試験的ではあるが、成長モデルを構築している。これらを適切に統合して生態系サービスの活用や生物多様性の保全に資するモデルを構築していくことが今後重要になってくる。
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Causes of Carryover |
調査対象地である黒松内町の協力により、低コストで最低限の野外調査を行うことができた。 また、来年度は取得したデータを十分に活用していくことが求められるため、その処理に費用を割く方が重要と判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初夏にかけて継続的な野外調査を行うとともに、衛星画像等、取得したがまだ解析できる状態に至っていないデータの処理の円滑化に用いる。具体的には、GISデータや野外で取得したサンプルを適切に処理できる研究協力者の人件費等に用いる予定である。
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Research Products
(6 results)