2014 Fiscal Year Research-status Report
低炭素投資スキームを活用した設備更新による農業生産のグリーン化
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25740053
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山本 祐吾 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30379127)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | greenhouse horticulture / biomass / life cycle assessment / greenhouse gas reduction / carbon credit scheme / past voluntary effort / pay-back period |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,施設園芸農家による過去のCO2削減努力の違いが,炭素クレジット制度を活用してボイラを更新した際に得られる金銭メリットに与える影響を分析するために,過去の設備更新に関する4つのパターンと,2010年における技術選択に関する5つのケースを設計した上で,CO2削減量とエネルギーコスト削減額,投資回収年数を比較した.その結果,以下の知見が得られた. ・長期間にわたって設備更新してこなかった事業者が経済的に有利となる一方,過去に自主的・積極的な設備更新に取り組んできた事業者ほど,制度活用時の便益が小さくなる.また,設備更新の回数が同じであっても,それが技術進化の大きかった時期かどうかによって,便益に違いが現れる. ・現行のクレジット制度では,クレジット認証量は既設設備の初期性能値を基準にして算定されている.もし経年劣化によるボイラ効率の低下を考慮し,実質的なCO2削減量に基づいて認証量が算定されることになれば,過去のCO2削減努力が小さい事業者が制度活用の際にますます有利になる. ・クレジット制度を活用するときの技術選択では,ヒートポンプへの更新が最も投資効率に優れる一方,バイオマスボイラではほとんどの場合,耐用年数期間内に投資回収できない.また,過去のCO2削減努力に配慮しない制度では,設備更新を自主的・積極的に行ってこなかった事業者が経済的に有利になるばかりでなく,その事業者が経済合理的に判断を下せば,最も低炭素効果の小さい技術が選択されることになる. ・過去に最もCO2削減に取り組んできた定期更新型の投資回収年数が,最もCO2削減に消極的であった長期使用型のそれに等しくなるためには,ヒートポンプの場合は初期費用の補助率を現行の50%から約70%に高めるか,クレジット取引単価を1,000円/t-CO2から9,500円/t-CO2にする政策的支援が必要となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低炭素技術ごとのGHG削減ポテンシャル評価,炭素クレジット制度を活用した際の便益算定,制度運用上の課題の定量的解析などが順調に実施された.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って,調査・分析を遂行する.研究の過程で明らかになった新たな研究課題にも着手する.
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Causes of Carryover |
物品購入に際し,予定額と実際の請求額との間に差額が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の遂行に必要な経費に使用する.
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