2014 Fiscal Year Research-status Report
意思決定過程を通じたリスク情報の統合のための制度設計の方法論に関する研究
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25740066
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Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
杉本 卓也 千葉商科大学, 政策情報学部, 講師 (90599391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 公共事業事前評価 / 環境影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環境アセスメントと公共事業評価制度の2つの制度に着目して、公共事業の立案の際の環境や災害等のリスク情報の統合を効率的に実施するための方策を検討することを目的としている。 平成26年度では、67団体(47都道府県及び20政令指定都市)を対象に、公共事業評価制度に関するアンケート調査を実施し、60団体から回答を得た(回収率89.5%)。調査の結果、本研究が対象としている、公共事業事前評価制度は、45団体(60団体中)で制度化されていることが明らかになった。そのうち34団体について、公共事業評価で取り扱われる情報に環境情報が把握された。また、公共事業評価結果の情報公開については、33団体において、全文または概要版をweb上で公表していると回答を得た。アンケート調査では、環境情報の記載可能スペースや環境アセスメントの結果の記載方法についても合わせて把握しており、集計結果を踏まえた分析の後、結果と合わせて、査読付き学術論文として投稿予定である。 研究成果の発表については、アンケート調査に先行して実施した自治体へのヒアリング調査について、その結果を学会口頭発表および学術論文として発表した。なお、調査分析対象とした事例は、公共事業事前評価を実施した道路事業について、さらに自主的な環境調査(自主アセスを実施していた(2事例)である。分析の結果環境調査による環境情報は事業部局の担当レベルで参照されているが、事前評価の調書にはほとんど記載されない実態が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、公共事業評価の結果の情報公開と参加に関する市民意識調査まで実施する予定であった。市民意識調査に先行して実施した、自治体(行政組織)を対象としたアンケート調査は、おおむね想定通りの回答数とデータを確保することができた(回収率89.5%) 研究計画の当初から、行政組織、市民を対象としたそれぞれの調査項目は、同一項目で実施し、先行して実施する行政へのアンケートに準拠した市民調査をする予定であった。ただし、行政用語を市民に分かりやすく解説するための補足資料の作成と、調査項目の調整に時間がかかっている結果、現行の達成度が【(3)やや遅れている】となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施予定であった公共事業評価の情報公開に関する市民意識調査を実施する。公共事業の立案過程におけるリスク情報に対する認識について、参加、コミュニケーションの観点から意識調査を行う。この調査では、リスク情報に対するニーズとともに、市民と行政の間のコミュニケーションに対する認知ギャップを明らかにする。調査は、サンプルデータ数の確保のため、調査会社を介して実施する。 公共事業の意思決定過程において、環境社会面に関する情報の統合にあたっての制度設計のあり方を検討するために、事例分析を実施する。環境アセスメントと公共事業評価が併せて実施された事例を選定し、事業主体(事業部局)、環境アセスメント所管部局(環境部局)及び公共事業評価所管部局(事業部局、財務部局)を対象にヒアリング調査を行う。この調査は、自治体アンケートの結果を踏まえて、公共事業評価の実施経験の多い自治体を対象として、制度運用に関するヒアリング調査を行う。なお、実施経験の多可は、アンケーと結果を踏まえて選定する。 平成27年度が本研究の最終年度であり、自治体、市民を対象として実施した今までの調査研究結果を踏まえ、公共事業評価と環境影響評価の情報活用のための制度設計方策を提案し、本研究の最終報告とする。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施予定であった市民調査は、サンプルデータ数の確保のため調査会社を利用する予定であり、そのための調査費を確保していた。しかし、市民調査の実施が未実施となったため、その分の費用が残る結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由の通り、平成26年度に実施予定であった市民調査の調査費用として、サンプルデータ数の確保のため調査会社を利用に充てる。また、調査旅費は、個別事例のヒアリング調査に係る費用として使用する。
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