2015 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動が水資源利用可能量に及ぼす影響-国際貿易の観点から-
Project/Area Number |
25740068
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
鶴見 哲也 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (50589364)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際貿易 / 貿易自由化 / 再生可能資源 / 水 / 経済成長 / 環境規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
主要な研究成果は以下の三つにまとめられる。まず一つ目の成果として気候要因が農作物貿易に及ぼす影響を検証した。具体的には、主要な農作物である小麦、米、トウモロコシを対象に、二国間相対輸出モデルを構築し、実質GDPや気候条件がこれらの相対貿易に与える影響を分析した。分析の結果、世界全体で気温が10%程度(平均1.62℃)上昇した場合、小麦では、4.81%輸出が減少し、米では、0.61%輸出が増加し、トウモロコシでは、0.08%輸出が減少することが明らかとなった。また、世界全体で10%の降水量増加(97mm/年)することによる影響は、小麦の場合、2.25%輸出減、米の場合、0.84%輸出増、トウモロコシの場合、3.15%の輸出増となることが明らかとなった。 二つ目の成果として、貿易の自由化が水資源利用に及ぼす影響を検証した。具体的には、経済規模、所得、産業構造の変化が貿易を通して水資源取水量および消費量に及ぼす影響を検証した。推計の結果、貿易に起因する規模効果および直接的な構造効果は水使用量を増大させる効果を持つ一方で、貿易に起因する技術効果および貿易に起因する構造効果は水使用量を削減する効果を持つことが明らかとなった。貿易に起因する正味の弾力性値は全世界平均で-1.00~-1.52%と推計され、貿易自由化が全世界平均で1%進展することが水使用量を1%程度減少させることが実証的に示されたことになる。 最後に、三つ目の成果として、環境規制の強さが各国の貿易に及ぼす影響を検証した。分析では環境規制が貿易に与える影響を直接効果とGDPに及ぼす影響を通して貿易に及ぼす間接効果に分けている。分析の結果、間接効果は無視できないほど大きいこと、直接効果と間接効果を合わせた全効果では適切な環境規制は貿易活動を活発化させることが明らかとなった。
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[Book] The Economics of Green Growth: New Indicators for Sustainable Societies2015
Author(s)
Chika Aoki-suzuki, Tania Ray Bhattacharya, Hidemichi Fujii, Cao Huijuan, Yutaka Ito, Key Kabaya, Hiromitsu Kawahara, Satoshi Kojima, Shunsuke Managi, Hideyuki Mizobuchi, Sana Okayasu, Masahiro Sato, Masayuki Sato, Kenta Tanaka, Tetsuya Tsurumi
Total Pages
312(49-70)
Publisher
Routledge
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