2015 Fiscal Year Annual Research Report
映像コンテンツの面白さに及ぼす音響デザイン手法に関する研究
Project/Area Number |
25750002
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
金 基弘 駿河台大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (90584665)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 笑い / 間(ま) / 挿入タイミング / シンボリックな音楽 / 喜劇的な映像 / 悲劇的な映像 / インパクト感 / 調和感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,テレビなどの映像メディアにおいて「笑い」を演出する映像に付加する音楽の挿入タイミングの最適さに関する研究を行いました。実験では,笑いの原因となる出来事が起こった映像に付加するシンボリックな意味を持つ音楽の最適な挿入タイミングを明らかにするための一連の主観評価が行われました。実験1では,テレビ及びCMの映像とシンボリックな音楽を組み合わせて作成した視聴覚刺激を実験参加者に呈示し,シンボリックな音楽の挿入タイミングが映像の面白い印象に及ぼす影響を確認しました。実験2では,実験1で設定した基点(映像で笑いの原因となる出来事が起こった時点)の1秒前後にシンボリックな音楽を挿入し,シンボリックな音楽が基点より先行する条件より後行する条件の方が映像の面白さに効果的であることを示しました。実験3では,実験2の結果をもとに,シンボリックな音楽の付加を後行条件に絞って0.5秒ずつ設定し,シンボリックな音楽の最適な挿入タイミングを求めました。実験の結果,喜劇的な映像場面の場合は笑いが生まれる基点(0秒)直後~0.5秒に,悲劇的な映像場面の場合は0.5~1秒に,シンボリックな音楽の最適な挿入タイミングが存在することが明らかになりました。いずれの映像場面においても,笑いが生まれる基点から1.5~2秒の「間(ま)」があくと,シンボリックな音楽の効果は低下しました。さらに,シンボリックな音楽の挿入タイミングが最適な条件では,映像作品にインパクト感や調和感が最高となり,最もよく笑える状態になり,作品としても最高の評価が得られることが分かりました。本研究を通して,笑いを誘発する映像場面に付加されるシンボリックな音楽の最適な挿入タイミングが明らかとなり,映像メディアにおける音楽を付加する際の「間」の効果について検証することができました。
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