2013 Fiscal Year Research-status Report
対人関係の円滑化に寄与できるアパレルデザインの効果と評価者特徴指標の構築
Project/Area Number |
25750015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
内藤 章江 お茶の水女子大学, リーダーシップ養成教育研究センター, 特任助教 (70367639)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デザイン / 視線動向 / 心理評価 / 分割線 / 柄 / シルエット |
Research Abstract |
本研究は、アパレルデザインの効果と評価者の評価特徴を客観的評価手法により数値化・可視化し、対人関係の円滑化に寄与できる指標の構築を目的としている。平成25年度はアパレルデザインの「形」の中から分割線(分割線なし、縦分割、横分割)7種、模様(模様なし、直線、曲線などの幾何学模様)12種類、シルエット8種類を取り上げ、それらの心理効果と評価時における視線動向を測定した。 被験者(女子大学生9名)にアイマークレコーダーEMR-9(nac製)を装着し、「身長が高く見えるものを挙げてください」と説明し、分割線7種類を掲載したスライド1枚を10秒間呈示した。10秒後、身長が高く見えた試料の番号を口頭で回答させた。この方法で計16項目の質問をした。模様とシルエットについても、同様の方法で実験を行った。心理効果の解析には単純集計とクラスター分析、視線動向は専用ソフト(dStream)を用いて分析した。 心理効果を測定した結果、分割線(7種)は「身長は低く太って見えるが、落ち着きや親しみ、優しさを感じるかわいらしく見せる」もの(3種)と、それとは逆の効果を有するもの(4種)に分かれた。模様(12種)では、「身長が低く、落ち着きや親しみ、優しさを感じ、かわいらしく見せて好感度が高い」もの(4種)、「身長は高くやせて見え、知的で落ち着きがあり、カッコよく見せて好感度が高い」もの(2種)、「知的さや落ち着きがなく、親しみにくく好感度が低くなる」もの(6種)の3つに分かれた。シルエット(8種)は「身長が低く太って見え、知的さや落ち着きはないが、親しみやすくて優しい、かわいらしく見せる」もの(5種)、それとは逆の効果を有するもの(3種)に分かれた。視線動向を分析した結果、分割線では線の位置と面積比、模様では模様の配置場所や形状、シルエットではウエストのくびれと重心を手掛かりに評価している様子が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、アパレルデザインの「形」が及ぼす効果と評価者の評価特徴を明らかにすることを目的としている。目的を達成するために、調査・実験データの入力作業や実験試料の作成等については、アルバイトを雇用し、研究チームを構成して作業効率を高める工夫をはかった。また、アイマークレコーダーの取り扱いについては、開発元(株式会社ナックイメージテクノロジー)に協力を仰ぎ、実験に協力・参加頂いた。このようにして、計画した実験は順調に遂行され、十分な成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果をもとに、平成26年度はアパレルデザインの「色」と「素材」に着目し、「単色」、「配色」、「色の錯視」、「風合い感」、「素材感」が及ぼす効果と評価者の評価特徴について、心理評価と視線動向から明らかにし、両者の関係を検討する。 なお、視線動向を計測するためのアイマークレコーダーは株式会社ナックイメージテクノロジーより借用したが、長期借用が難しく、かつ、開発したばかりのソフトウェアを併用する必要があったため、平成25年度は実験日程に融通の利き、実験に対する理解度が高い大学生のみを被験者とした。実験の結果、有効なデータを得ることができたことから、今後も大学生を被験者としてアパレルデザインの心理効果と視線動向の特徴傾向を把握し、短期間で確実に、かつ、被験者に負担がかからない状況での実験が可能となった時点で中学生・高校生の被験者を加えることとした。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、視線動向データ解析ソフトウェアを購入するために100万円の予算を計上したが、実験開始までに解析ソフトウェアが完成せず、開発途中のソフトウェア使用することとなった。実験開始時点で利用可能な部分をソフトウェア化して納品いただいたため、部分的にソフトウェア代金を支払うこととなった。残金は、物品購入や被験者謝金等に使用し、さらに残った助成金は次年度に繰り越し、次年度の助成金と合わせてバージョンアップ費用に充てることとした。 平成26年度の助成金および平成25年度の繰り越し助成金は、アイマークレコーダーのソフトウェアバージョンアップ費用に加え、被験者謝金、消耗品・書籍購入、学会発表等に係る旅費、論文投稿費用に使用する予定である。
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