2014 Fiscal Year Research-status Report
対人関係の円滑化に寄与できるアパレルデザインの効果と評価者特徴指標の構築
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25750015
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
内藤 章江 お茶の水女子大学, リーダーシップ養成教育研究センター, 講師 (70367639)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デザイン / 視線動向 / 心理評価 / 色彩 / 配色 / 生地 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは「見た目(外見)」で人を判断することがあり、それらが対人関係に影響することもある。衣服におけるデザイン要素は見る人に様々な影響を及ぼすものの、心理評価で検討されたものが多く、客観的指標を用いた検討は非常に少ない。また、円滑な人間関係を構築するためには、評価者(見る人)の評価方法(見方)の特徴も把握しておくことが有効と言える。そこで本研究は、アパレルデザインの効果と評価者の評価特徴を客観的評価手法により数値化・可視化し、対人関係の円滑化に寄与できる「アパレルデザインの効果と評価者特徴の指標」を構築することにし、平成26年度は「色」と「素材」が及ぼす効果について検討した。検討に当たり、アパレルデザインの「色」の中から「単色」、「配色」に着目し、それぞれの心理効果と評価時における視線動向の特徴を捉えることにした。被験者は女子大学生・大学院生の計10名であり、2014年9月に実験を行った。 色が及ぼす効果については、単色試料(15種)は、知的で落ち着いて恰好よく見える「中・低明度(dk、Gyなど)グループ」、ふっくらとして親しみやすい、優しくてかわいらしく好感度の高い「高明度(p)グループ」、知的さや落ち着きは低いが恰好よく見える「高彩度(v)グループ」の3つに分かれた。配色(39種)では、知的で落ち着きがあり、恰好のよい「低明度(dk)・低彩度(p)グループ」、身長が高く恰好よく見える「高彩度(v)グループ」、ふっくらと親しみやすく、優しくてかわいらしい「高明度(p)、色相が赤(色相番号2)グループ」の3つに分かれた。心理効果測定中の視線動向を分析した結果、質問に対する回答に該当する試料において注視回数が多くなる傾向が認められた。「素材」が及ぼす効果については、生地のたわみ具合に着目して評価をしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、アパレルデザインの「色」と「素材」が及ぼす効果と評価者の評価特徴を明らかにすることを目的としている。目的を達成するために、実験データの解析作業についてはアルバイトを雇用し、研究チームを構成して作業効率を高める工夫を図った。また、昨年度に引き続き、アイマークレコーダーの取り扱いについては、開発元(株式会社ナックイメージテクノロジー)に協力を仰ぎ、実験に協力・参加いただいた。このようにして計画した実験は順調に遂行され、充分な成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度、平成26年度の結果をもとに、平成27年度は「形」、「色」、「素材」を組み合わせ、具体的な服飾品に展開し、効果の異なる試料を作成して実験を実施する。引き続き、大学生を被験者として心理効果と視線動向の特徴傾向を把握することとした。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、旅費および人件費・謝金の一部を別経費にて支出した。これは、最終年度である平成27年度に、これまでの成果をもとに実際の服飾品を作成するため、これまで以上に人件費・謝金、および消耗品費が必要となるため、平成26年度の経費使用を控え、次年度使用分として繰り越すことにした。また、最終年度にはこれまでの成果をより多くの場面で発表するために、旅費についても同様の理由で次年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の繰り越し助成金、および平成27年度の助成金は、被験者謝金、実験補助(実験試料作製含む)謝金、消耗品購入費、学会発表等にかかる旅費、論文投稿費用に使用する予定である。
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