2013 Fiscal Year Research-status Report
小学生の生活力を高めるにあたって学童保育指導員に求められる専門性に関する研究
Project/Area Number |
25750018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
松本 歩子 平安女学院大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10615058)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学童保育 / 生活力 / 生活体験 / 子育て環境 |
Research Abstract |
女性の社会進出や核家族化の進行に伴い今後、留守家庭児童が過半数を占める新たな時代が訪れる中、「学校」でも「家庭」でもない「学童保育」の時間に、子どもたちへ豊かな生活を提供することの重要性は高まっていると言える。特に、若者の生活力低下が叫ばれる今日、学童保育には豊かな生活体験の場を提供し、子どもたちの生活力の向上に寄与することが望まれる。 学童保育での生活体験と学童保育児童の生活力の関係性について把握し、生活体験活動のあり方を検討するため、まずは「生活の場」としての位置づけが明確であると判断された自治体の学童保育に対し、学童保育での生活体験に関わる3段階の視点「①普段の生活(短時間保育時)」「②土曜・長期休業時の生活(長時間保育時)」「③行事での取組」から、訪問ヒアリング・観察調査を実施した。平成25年度は学童保育の実施箇所・運営主体にばらつきが出るよう4種5地域を調査対象地として選定した。 その結果、各学童保育における生活体験活動は「普段の生活」の段階から衣・食・住に関わる各種活動が存在し、さらに一部においては消費生活や環境に関する活動も確認された。「土曜・長期休業時」「行事」の段階では上述の「普段の生活」における生活体験活動の内容をベースに、生活体験活動を行う場が学童保育施設近辺から地域にまで広がる空間的変化が見られた。 また、生活体験活動の内容は時間・時期の段階だけでなく、子どもの発達年齢の段階においても差があることが確認された。ただし、小学生の生活体験の発達段階別指標として、現行の小学校教科に位置づく生活科は1・2年生のみ、家庭科は5・6年生のみが対象と系統性がない中、昭和26年に文部省が刊行した「小学校における家庭生活指導の手びき」を参考とし、学童保育における発達年齢別生活体験活動の内容について分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画においては、学童保育での生活体験に関する「訪問ヒアリング・観察調査」及び、各生活体験活動に対する学童保育児童及び保護者への「意識に関するプレ調査」を予定していた。しかし、「訪問ヒアリング・観察調査」の実施により、当初予定していた学童保育の開設時間・時期別の生活体験活動という視点だけでなく、子どもの発達年齢別の生活体験活動という視点も必要であることが把握されたことから、「意識に関するプレ調査」の前に、急遽「小学校における家庭生活指導の手引き」をもとにした分析研究を追加した。児童福祉法改正に伴い学童保育児童の受け入れが6年生まで引き上げられたことから、学童保育の生活体験活動も低学年児童だけでなく、6年間を見据えた活動が必要であり、これら調査視点を加えたことは重要かつ不可欠であったと考えられる。意識に関する本調査は当初計画通り平成26年度遂行できることから、当初の計画から若干のずれは見られるが、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は「訪問ヒアリング・観察調査」の追加調査を行い、現在の分析結果の裏付けを行うとともに、各生活体験活動に対する学童保育児童及びその保護者の具体的な意識を把握するため「各生活体験活動に対する学童保育児童と保護者の意識に関する調査」を実施する。また、学童保育の生活体験活動が小学生の生活力に影響を及ぼしているか否かを把握する「小学生の生活力に関するアンケート調査」も実施する。 平成27年度は、調査結果を踏まえ、学童保育の生活体験活動の提案及び、指導員研修教材案を作成した上で、全国から学童保育指導員を招き、研修教材案に関する意見交換会を開催する。意見交換会で得られた情報を元に、追加調査を行い視点を補う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現場の調査受け入れの困難さを予想し、各調査対象地への訪問を複数回ずつ予定していたが、実際には、いずれの調査地においてもヒアリング調査に十分な時間が得られ、また関係資料の提供も得られたことから、調査地への訪問回数を減らせたこと、また「各生活体験活動に対する学童保育児童及び保護者への意識に関するプレ調査」の実施を見送ったことが次年度使用額が生じた理由である。 次年度使用額は平成25年度の実施を見送った「各生活体験活動に対する学童保育児童及び保護者への意識に関するプレ調査」分の費用を平成26年度実施調査「各生活体験活動に対する学童保育児童及び保護者への意識調査」に含めることでの使用及び、平成27年度に作成する指導員研修教材の普及において使用することを計画している。
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