2014 Fiscal Year Research-status Report
公共サービスとしての高齢者向け施設・住宅情報の一元化に関する研究
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25750020
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 哲 釧路工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (90511296)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者住まい / 住情報データベース / 空き家利活用 / 公共サービス / マッチング / 住まい検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度(平成25年度)は、福岡県大牟田市と共同で、公共サービスとして活用できる高齢者住情報データベースシステムのプロトタイプ「住みよかネット」を構築し実運用を行った。平成26年度はその運用から新たな課題、システム修正点を明らかにするために、システム利用者である高齢者住まい事業者、高齢者の生活を支援する地域の専門家にヒアリングを行った。 大きな修正点としては、大牟田市のケアマネージャーからの意見で、これまではケアプランを作成する上で、自宅での生活が困難な方に対して、高齢者施設、高齢者向け住まいを紹介する場合、空き状況が分からず確認のため電話で確認している状況であり、データベースで空き情報を確認できるようにしてほしいという要望があり、平成26年度の第一回目のシステムアップデートにおいて、高齢者住まい事業者向け情報入力ページに空き情報入力項目を追加した。この際、情報入力から情報公開までの手順を一部見直しを行った。これまでは入力された情報の信用性を保つために、高齢者住まい事業者による情報入力後、システム管理者(研究代表者・大牟田市自治体職員)によるチェック後、承認を経てWEB公開を行っていたが、住まい事業者へのヒアリングから、事業者の最新情報を伝える妨げになっているという意見があった。また、空き情報は日々変化するものであり、地域住民に対して最新の情報を提供するという目的から、一部の情報を管理者の承認を経ずとも公開できるようシステムを修正した。 また、当初は高齢者向け住まい情報データベース構築を目的としたものであったが、平成26年度からは空き家情報も同様のスキームで情報収集・公開を行っている。地域の空き家を高齢者サロンとして活用する新たな試みを実践した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究開始時点で、提案システムはフリーのデータサーバ上での試験運用であったが、平成25年度、平成26年度と研究活動を進め、様々なユーザーの意見を集約し、現在実運用に耐える安定したシステムとなった。 提案システムは研究事業期間のみで終了するものではなく、終了後もサービスとして継続発展させていくことを念頭に取り組みをはじめたため、組織作り、サポート体制の構築も大きな課題であった。これは、大牟田市と協議し、大牟田市居住支援協議会に主管理団体となってもらい、メンテナンス、高齢者向け住まい事業者との連絡調整を担当してもらうかたちとなっている。また、同団体は地域住民への相談サービスも事業として取り組んでおり、提案サービスはWEBを活用した住まい情報収集・公開の効率化を目指したものではあるが、利用者の声を直に聞くこともシステム開発には不可欠であり、研究事業の重要な役割を担っている。 行政と連携し、システムを運用することで新たな課題を発見し、サービスを拡大できたことも大きな成果と言える。当初は高齢者向け住まい情報のみを対象にスタートした研究事業であったが、少子高齢化に関連して地域の大きな課題となっている空き家を高齢者向け住まいと同様のスキームを用いて情報を収集し公開することで、地域の空き家を高齢者向けサロンとして活用するモデルケース事業に繋がった。これは制度や既存の枠組みにとらわれず、高齢者の住まい問題を多角的に捉え、地域の課題を解決するという研究の理念に合致するものであったといえる。 研究成果の公開は、平成26年度に大牟田市主催のシンポジウムで取り組みを紹介したこと、データベースシステムが常に公開されているものであり、成果を常に発信することができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
大牟田市での高齢者住情報システムの提案・運用から、提案システムは地域の住まい情報を効率的に収取・公開することの利点、運用上の課題を明らかにできたといえる。科研費事業としての研究期間は終了するが、研究計画書で示していたように、当システムは今後も補助金等に頼らずに継続発展していくサービスとしていくことを目的としたため、今後は大牟田市のみではなく、周辺自治体への導入アプローチを進めていく計画である。 大牟田市で稼働中の「住みよかネット」は情報公開ページのみ自治体専用のものであるが、情報収集ページは汎用性のあるものとしたため、他の自治体でも容易に活用・導入ができるものとなっている。参加自治体が増えることで、自治体の枠を超えた住まい検索、情報提供も可能となる。また、大牟田市では空き家情報という新たな視点でサービスを拡大したが、他自治体では別の視点でサービスを拡大することも可能であり、データベースサーバを通じて、他自治他の取り組みを知る・体験することが可能であり、自治体の枠を超えた事業・サービス検討の場を構築できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
公共サービスとして利用できる高齢者住情報データベースシステムの開発と実運用についての評価を行ってきたが、自治体、施設運営者等との協議でシステムを数回ブラッシュアップしてきたが、それぞれの意見の調整に時間がかかり、最終版の評価アンケートを実施できていない。システムを公開し、ある程度時間をおき、実際に使用してもらった後に評価を行いたいと考えている。 補助事業期間の延長はすでに申請済みで、継続許可も得ている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
システムのユーザー評価に関するアンケート、ヒアリング調査、ワークショップの開催以外に使用しない。現在、研究の最終段階であり、打ち合わせ等もWEB上で実施しているため、交通費等も発生しない。
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Research Products
(1 results)