2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750034
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Research Institution | Industrial Technology Center of Saga |
Principal Investigator |
吉村 臣史 佐賀県工業技術センター, その他部局等, 研究員 (30505722)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機器分析 / 風味評価 / 成分分析 / 統計解析 / 主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
味や香りといった風味の評価は、評価者ごとにおいて表現や感じ方が異なるとともに、同じ評価者であっても環境状態(温度や湿度、体調等)によって感じ方が変わり得る。官能評価には経験の積み重ねが大きく影響するものであり、熟練したパネラーを育成するにも長期間の習熟が必要であり容易ではない。 本研究では、機器分析を用いて官能評価系における評価結果との相関的かつ客観的に評価できるシステムの構築に取り組んでいる。今回、本県で製造されている日本酒に対して高速液体クロマトグラフを用いた遊離アミノ酸分析や有機酸分析、及び誘導結合プラズマ質量分析装置を用いたミネラル等の測定を行い、主成分分析を応用したデータの傾向の把握を試みた。 高速液体クロマトグラフを用いて、日本酒中に含まれる遊離アミノ酸の分析を行ったところ、純米酒等の日本酒の種類にもよるが、単位容積あたりの遊離アミノ酸濃度は20~57 μmol/Lであった。また、特定のアミノ酸に関して含有量に大きな差が認められた。この特定のアミノ酸の含有量の差がどのようなことを示しているのか注視する必要があるとともに、今後のデータの蓄積が非常に重要であると判断した。誘導結合プラズマ質量分析装置を用いたミネラル等の分析結果を振り返ると、原料としている水の影響かどうか明確化していないが、特定のミネラルが比較的大きめに検出され、また水の硬度に由来すると思われるMgイオンやCaイオンの差が認める傾向が示された。この事象についても、本年度特有の事象であるのか生産環境による特異的なものであるのか、それらがどのように風味に影響を及ぼすのか、単年度における分析結果では判断が非常に困難である。そのため、今後もこれらデータを蓄積させることにより、年度差の違いを除外した評価技術の構築に取り組んでいきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では被験試料を固定することによって、それぞれの研究年度において得られた試料に対し各種機器分析を継続して行っていくことにしている。平成26年度においては、ほぼ順調に研究は進捗しており、次年度内に計画している分析スケジュールを大きく変更する必要性はないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
(研究全体について)研究期間内における各年度において、被験試料ごとに着実にデータを採取し積み上げていくことが、本研究において最も重要である。今後においても、年度ごとに被験試料の機器分析の結果及び専門家による官能評価の結果を比較、検討するとともに、機器分析により得られた結果を含めて統計学的な解析を継続的に行う予定としている。本研究は基本として3年間蓄積したデータを基礎として、種々の検討を行う予定にしており、それに課題が発生しないように計画的に実験等を行っていく必要がある。各種機器分析により得られた結果を総合的に解釈することによって、官能評価により得られた結果と機器分析において得られた結果との高い相関性を見出すことが可能になり、機器分析を官能評価の一つとして適用する道筋が見えてくるものと考えている。 また、本評価システムの確立によって、他食品へ応用する場合の基盤技術となり得ることから、一つ一つの検討項目を次のステージに活かしていけるように適切な整理を行いたいと考えている。 (評価項目の追加について)平成26年度末に四重極飛行時間型質量分析計を整備したことから、茶や日本酒に含まれる各種成分を網羅的に解析することにより、本研究に及ぼす効果、影響を調査したい。 (各年度において得られた結果の比較、検討)特に茶といった農林水産物は年度間の差異が発生しやすい試料と考えられることから、研究期間全体の結果に対して検討を行い、総括して評価していきたい。日本酒についても同様に、年度間における結果を相対的に比較することによって、分析技術の確立に対する検証を行っていきたい。本件については、研究期間最終年度に実施することが適切であると考えられる。
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Research Products
(3 results)