2013 Fiscal Year Research-status Report
アミン化合物に着目した,発酵による機能性向上機構の解明と新規米発酵食材の開発
Project/Area Number |
25750038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
稲垣 秀一郎 信州大学, 農学部, 助教 (20575774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 米 / 発酵食品 / 微生物 / アミン化合物 |
Research Abstract |
昨今,余剰米や規格外米等の未利用米が急激に増加しているため,主食用以外の用途を開発し米の消費量を拡大することが急務となっている。米麹は,味噌や醤油,酒等,日本の伝統的な食品の製造に欠かせない食材であるが,日本の米麹はAspergillus属のカビを用いたもの(散麹)に限られている。一方で,アジア諸国に目を向けると,タイのLuck PangやインドネシアのRagi,ブータンのChang poo等,さまざまな米麹(餅麹)が存在する。そこで代表者は,新規米発酵食材の開発を目指すため,アジアの糖化微生物で純粋発酵させた米麹を製造し,それらに保健機能の解明に着手した。 平成25年度には,糖化微生物(Aspergillus oryzae, Monascus pilosus,Absidia corymbifera, Mucor circinelloides, Mucor racemosus, Rhizopus oligosporus, Rhizopus oryzae, Saccharomycopsis fibuligera)を用いて米発酵物を製造し,その成分分析および生理活性評価を行った。製造した発酵物および未発酵物中の成分分析(還元糖量、アミノ酸量,およびポリフェノール含量)を行ったところ,各微生物を用いた発酵物の各含量は未発酵物と比較して増加しており,その中でも,R. oryzaeとR. oligosporusで著しく増加することを見出した。また,製造した発酵物および未発酵物の脂質分解活性を評価したところ,未発酵物と比較してAb. corymbifera,Mu. circinelloides,およびMu. racemosusを用いた発酵物の酢酸エチル抽出物において顕著な活性が見られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は,製造した米発酵物の成分分析を行うことであったが,研究実績の概要に記したように,各発酵物に含まれる成分の特徴を明確に示すことができ,またそれのみでなく,各発酵物のうち3種の発酵物における脂質分解活性を明らかにすることができた。よって25年度の研究は,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には,まずダンシルクロライド誘導体化によるアミン化合物の分析法の確立を行う。そして,その手法を用いて,製造した米発酵物中のアミン化合物種の特定と含有量の調査を行う。また,現在これらの米発酵物に見いだされている脂肪分解活性とアミン化合物の関与について主成分分析(PCA)により詳細に調査する。さらに,米発酵物のin vivoにおける抗肥満活性をICRマウスを用いて検討する。また,効果を示した米発酵物中に含まれるアミン化合物を分析し,in vitroによる脂肪分解活性とin vivoにおける抗肥満作用,そして,それに寄与するアミン化合物種について総合的に考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度に当初の予定にない物品を購入する必要が生じたため。 平成25年度の繰越金は,NMR用溶媒およびサンプルチューブの購入のために使用する。また,平成26年度の予算は,アミン化合物の標準サンプルおよび分析用試薬,脂肪分解活性測定用,ICRマウスを用いたin vivo抗肥満試験のための消耗品費に使用する予定である。
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