2013 Fiscal Year Research-status Report
ガラニン様ペプチド(GALP)の生理的意義解明と新規生活習慣病治療法の開発
Project/Area Number |
25750053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
平子 哲史 昭和大学, 医学部, ポスドク (90644261)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質代謝 / 抗肥満 / 交感神経 / 末梢組織 / ガラニン用ペプチド / 脂肪組織 / 肝臓 |
Research Abstract |
ガラニン様ペプチド(GALP)は弓状核に局在しており、摂食調節を行っている神経ペプチドである。発見以降、多くの研究でGALPは摂食調節作用だけではなく様々な生理作用を有することが知られている。その中でも抗肥満作用、特に脂質代謝に着目し、そのメカニズムを解明することを目的とした。これまで、GALPが脂質代謝を亢進する事を示唆する研究結果は報告されていたが、その詳細な作用およびメカニズムのついては解明されていなかった。そこでまず、GALPが脂質代謝にどのように作用するのかを明らかにするために、マウスにGALPを脳室内投与した。その結果、投与のおよそ1時間後から呼吸商が減少し始めてその減少は2時間ほど続く事を見出した。次に、呼吸商の減少幅が最大となる投与後100分の時点で組織を採取し、肝臓及び脂肪組織での脂質代謝に関連する遺伝子発現を測定した。その結果、肝臓での脂肪酸合成に関与する遺伝子発現がGALP群で減少し、一方で、脂肪酸酸化に関与する遺伝子発現が増加した。さらに、脂肪組織での脂肪分解に関与する遺伝子発現が増加した。続いて、脳で作用したGALPの末梢での作用経路を解明するために交感神経に着目した。交感神経を薬理学的に遮断したところGALPの作用は抑制された。以上の結果から、GALPは交感神経を介して末梢組織での脂質代謝を亢進することが明らかとなった。今後は、肥満マウスに長期間投与した時のGALPの抗肥満効果について明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GALPが脂質代謝に与える影響を明らかすることができた。加えて、その作用が交感神経を介している点も明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
食事誘発性肥満モデルマウスを作成し、GALPを長期間点鼻投与することで、GALPの抗肥満作用を検討する。具体的には、体重増加量、内臓脂肪及び皮下脂肪等の脂肪組織重量に加え、血中の脂質値やアディポサイトカイン値および肝臓の脂質蓄積に対するGALPの影響をしらべる。また、肝臓及び脂肪組織での脂質代謝関連遺伝子発現を網羅的に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に食事誘発性肥満モデルマウスを作成し、GALPを長期間投与する予定であったが、予定を変更しGALP短期投与による脂質代謝改善のメカニズム解析を先に行ったため、その分未使用額が生じた。 いつくかの食事を用いた食事誘発性肥満マウスを作成し、GALPの生理的な作用および詳細なメカニズムを解明するために未使用額は充てる。
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Research Products
(10 results)