2013 Fiscal Year Research-status Report
尿酸値をコントロールするための食品中プリン体の吸収と尿酸への代謝動態の定量的解析
Project/Area Number |
25750055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
福内 友子 帝京大学, 薬学部, 助教 (10389116)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プリン体 / 新規分析法開発 / 尿酸値 / 食品 / 代謝動態 |
Research Abstract |
本研究の目的は、食品ごとのプリン体化合物の腸管吸収や肝臓での尿酸代謝における差異を定量的に解析し、新たな尿酸値上昇リスク評価方法を探ることである。まずは、プリン代謝動態を検討するために、尿酸および核酸塩基(4種)、ヌクレオシド(8種)、ヌクレオチド(8種)を簡便かつ精度良く測定できる方法の確立を目指した。移動相とカラムの組み合わせにより、20種類のプリン体標準物質が良好な分離を示すHPLCメソッドを数パターン構築した。細胞内からのプリン体抽出溶媒として、メタノール、過塩素酸、ギ酸などを用い、抽出効率と代謝動態への影響を比較し、アセトニトリル溶媒に決定した。さらに、定量分析するための感度および夾雑物質との分離について基礎検討し、酵素処理を用いたpeak-shift法や固相抽出法などの前処理方法を導入することで、分析方法を最適化した。急速なATP消費により尿酸値を上昇させることが知られているフルクトースやエタノールをHepG2細胞(ヒト肝ガン由来細胞株)培養液中に添加し、添加後1分~120分における細胞内外のプリン代謝動態を評価した結果、5分以内の早い段階でATP、GTPなどヌクレオチド3リン酸の分解、それに伴うヌクレオシドおよび塩基の上昇、その後30分以降から細胞外へのプリン体(IMP,XMP,ヒポキサンチンなど)輸送およびヌクレオチドの再合成が確認された。このことにより、エタノールやフルクトース負荷は、細胞内における急速なプリン体分解を引き起こし、時間依存的に細胞外へと輸送され、細胞外で尿酸まで代謝されることによって、尿酸値上昇を引き起こすことが明らかになった。プリン体の分子種別負荷、尿酸値上昇リスクが高いとされる食品・飲料の成分負荷による代謝動態の変動について現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に提出した計画通り、20種類のプリン体を一斉定量することにより、包括的に代謝動態を評価できる分析系を確立した。 実際に、尿酸値上昇リスクが報告されている成分を細胞培養液中に負荷すると、尿酸値上昇までの、細胞内外におけるプリン体の時間経過に伴う代謝動態の差異が明らかとなった。さらなる検討を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に続き、食品ごとの消化・分解の変動、プリン体化合物の腸管吸収を定量的に解析する。尿酸値上昇リスクが高いとされる食品・飲料の成分によるプリン体の消化・分解、吸収過程への影響評価では、①食物摂取状態または絶食状態での腸のモデルである人工胃液、人工腸液を用いた消化分解試験、②プリン体の小腸透過性(ヒト大腸癌由来細胞Caco-2細胞を用いたin vitroアッセイ)、③ラット小腸を用いた吸収メカニズムの評価(ラット空腸より調整した反転小腸を用いて、消化管内腔から組織への取り込みのin vivo実験)を行う。さらにこれまでに報告された大規模疫学調査を元に、痛風リスクや尿酸値上昇との相関性を導くための基礎となる食品中のプリン体の分子種別プロファイリングを作成し、評価系の構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
食品サンプルや生体試料中からプリン体抽出のために電動破砕機を購入予定であったが、当初予定していた機器のデモ機による予備実験の結果、目的に沿った破砕でできなかった。 次年度、ビーズ式の破砕機に変えて申請する予定である。差額分は、主に消耗品に使用する予定である。
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