2013 Fiscal Year Research-status Report
ゴマおよびゴマリグナン摂取がビタミンE代謝と酸化ストレスに与える影響
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25750060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
内田 友乃 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (50440821)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゴマリグナン / ビタミンE濃度 / セサミン / 腸管吸収量 |
Research Abstract |
私たちはラットにおいて、ゴマやゴマに含まれるリグナン類の摂取が、体内のビタミンE濃度を上昇させることを明らかにしている。これは、ゴマリグナンが、ビタミンE代謝を抑制したためであると推測している。今回、ゴマリグナンの一種であるセサミンが体内のビタミンE濃度を上昇させるメカニズムの解明を目的として、ビタミンE代謝阻害だけでなく、吸収促進作用もあるのではないかと考え、その点についてラットを用いて検討した。 ラットをビタミンE欠乏状態にした後、リポタンパク質リパーゼ(LPL)を阻害することで小腸から吸収されたビタミンEを血液中に留めておく方法を使用した。ラットには、ビタミンEとして、α-トコフェロール(αT)またはγ-トコフェロール(γT)を、またセサミンを含むものと含まないエマルジョンを胃内に経口投与した。経口投与6時間後に断頭によりラットを屠殺し、血清と組織を採取し、血清および臓器のビタミンE濃度およびその代謝産物であるカルボキシエチルヒドロキシクロマン(CHEC)濃度をHPLC法にて測定した。 体重および肝臓・脾臓重量に、LPL阻害および、セサミンによる変動はなかった。血清トリアシルグリセロール(TG)濃度とコレステロール濃度およびリポタンパク質中のTG量から、LPLの阻害によって、血中に脂質が蓄積されたことが確認されたが、セサミンおよびビタミンEによる違いは見られなかった。この時、γTと共にセサミンを投与すると、血清中のγT濃度が上昇した。従って、セサミンがγT吸収を促進していると考えられた。そのメカニズムを調べるため、小腸のビタミンE濃度と代謝産物であるCEHC濃度も調べてみると、セサミンによってγT濃度は上昇し、γ-CEHC濃度は減少する傾向が見られた。よってセサミンによるγT吸収促進の原因として、小腸でのγTからγ‐CEHCへの代謝が阻害された可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに明らかとしている、ラットにおけるゴマおよびゴマリグナン類の摂取が体内ビタミンE濃度上昇に与える影響について、そのメカニズム解析を目的として研究を行った。そのメカニズムとして、1つは、摂取したゴマリグナンが、ビタミンE代謝を抑制したためであると推測している。しかし、ゴマおよびゴマリグナンによる体内ビタミンE濃度の上昇効果は、ビタミンEの腸管での吸収量増加も可能性として考えられる。そこで平成25年度は、ゴマリグナンの一種であるセサミンによる、ビタミンE吸収促進作用についてラットを用いて検討した。 実験自体は、予定通り終了し、ほぼ予測していた通りのデータを得ることができ、概ね順調に進んでいると判断出来る。しかしながら、申請者の雇用状態や、機器設置場所の問題から、研究を進めるにあたって必要な機器を購入することができなかった。そのため、実験が計画的に遂行できるようにするため、平成25年度は他施設にて実験を進めた。本来は必要な機器等を現勤務施設内で保有し研究を進める方が圧倒的に効率が良い。また今後は、ヒトを使った介入研究を行うことから、実験の拠点を本学にするべきであると考えるため、平成26年度は、必要な機器等を本学に整備し、研究を進めることで、より余裕を持った研究遂行に繋がると考えている。これまで通り、研究に必要な機器を備えた他施設とは連携をはかり、研究が予定通り遂行できるよう、ご協力いただきたいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度 ヒトにおけるゴマの摂取がビタミンE代謝に与える影響 私たちがこれまでに明らかにしている、ラットにおけるゴマ摂取による体内ビタミンE濃度上昇について、今年度以降はヒトでも効果が見られるか検討する。 ゴマ油もしくは対照としてコーン油を使用したマフィンを試験食とし、1週間毎朝食時に被験者に摂取してもらう。その際、ビタミンEの変動をより分かりやすくするためγ-トコフェロール 100 mgを含むカプセルを同時に服用してもらう。また、試験食摂取期間中の食事調査を行い、ビタミンE摂取量を算出する。なお採尿および採血を試験食摂取開始前と試験食摂取後の2回行い、尿中のビタミンE代謝産物排泄量および血中のビタミンE濃度を測定し、ゴマ摂取によって、ヒトにおいてもビタミンE代謝が阻害されるのか検討する。試験食に使用するゴマ油は焙煎していないものを使用し、コーン油マフィンとの見た目、匂いについて差異をなくして、試験食による実験への影響をできるだけなくした上で検討する予定である。 なお、平成25年度は動物実験であったため、必要な動物飼育を行う施設が十分に確保できなかったこと、また申請者の雇用状態などの問題から、必要な機器を購入することができなかった。そのため、実験が計画的に遂行できるよう、平成25年度は他施設にて実験を進めた。平成26年度は、ヒトで行うため、実験の拠点を本学にして行う予定でいる。被験者については、申請者が勤務している大学が管理栄養士専攻であることから、食や健康について興味のある学生が多くいる。また1学年に80名いることから、より興味のある学生を被験者として選ぶことができ、コントロールが効きやすく、その辺については、研究遂行に大きな問題はないと考えられる。従って、必要な分析が、どこまで本学で行うことができるかが研究遂行の鍵になってくると考えられるため、機器購入など、計画的に進めていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者が本勤務校にて任期付きの雇用であり、平成25年度に雇用契約が切れることになっていた。そのため、必要な機器を購入するにあたり、来年度以降の所属が決まっていないことから、購入機器の設置場所の選定や研究場所の確保に困難が強いられ、予定する機器が購入できず、来年度への繰り越しが発生した。 平成26年度4月より、新規採用にて本勤務校に再度任期付きで雇用されたため、早めに必要な機器を購入する予定である。必要な機器等を本学に整備し、研究を進めることで、より余裕を持った研究遂行に繋がることから、早いうちに機器設置場所等を選定し、繰り越した額も使用していく。また、平成25年度は動物実験であったため、多施設にて行った方が効率が良かったが、今年度より、ヒトを用いて実験を行うことから、研究拠点を本学に移した方がより研究がスムーズに遂行できると考えられる。平成に25年度に消耗品も多く使用しており、新しく購入しないと研究が進まないため、消耗品についても、早めに購入していく計画を立てている。これまで通り、研究に必要な機器を備えた他施設とは連携をはかり、研究が予定通り遂行できるよう、ご協力いただくため、そちらでの試薬等の消耗品も早めに購入する。
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