2014 Fiscal Year Research-status Report
食塩排泄量自己測定機器を主体とした体験型減塩教育の確立
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25750067
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
安武 健一郎 中村学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00516726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食塩摂取量 / 食塩排泄量 / 減塩教育 / 血圧 / セルフモニタリング / 体験型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は、対象者自身が夜間尿による食塩排泄量自己測定を通して、減塩の成果を実体験できる「体験型」教育の確立を目的としたものである。 平成26年度は、サブテーマ2「夜間尿による食塩排泄量自己測定の個体間・個体内変動および測定精度の検討」を完遂、およびサブテーマ3「食塩排泄量自己測定器によるセルフモニタリングの効果:2 群間並行ランダム化比較試験」を開始した。 サブテーマ2では、対象50例に3日間(平日2日、休日1日)の24時間蓄尿(蓄尿)と食塩排泄量自己測定の同時測定を依頼した。全ての対象者から、3日分の24時間蓄尿検体(150検体)を回収し、3日間とも蓄尿が成功した33例(99検体)(男性7例/女性26例、年齢39.6±16.7歳、BMI23.1±3.4 kg/m2、血圧118.3±15.3/73.2±10.8 mmHg)を最終解析対象とした。24時間食塩排泄量と夜間尿による食塩排泄量の相関関係は、平日1日目(r=0.44, p=0.01)、平日2日目(r=0.40, p=0.02)、休日1日目(r=0.44, p=0.01)と有意な正相関を認めた。24時間食塩排泄量の個体内日間変動係数は24.7%、個体間変動係数は 21.3%である一方、夜間尿による食塩排泄量はそれぞれ13.3%、17.7%と低値であった。以上より、食塩排泄量自己測定機器は、日々変化する食塩排泄量を一定の精度で把握できるが、測定幅には限界を認めることが確認された。 サブテーマ3では、対象123名について食塩排泄量をセルフモニタリングする介入群と、通常通りの生活を行うコントロール群に割り付け、介入前後の24時間食塩排泄量、食事調査による食塩摂取量、食行動変容、血圧等を比較する研究計画である。1ヶ月の短期的効果は現在解析中であり、1年後の長期的観察を行っている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題は次の3つのサブテーマについて検討を行うものである。すなわち、(1)食塩排泄量自己測定機器の妥当性:食塩出納試験、(2)夜間尿による食塩排泄量自己測定の個体間・個体内変動および測定精度の検討、(3)食塩排泄量自己測定器によるセルフモニタリングの効果:2 群間並行ランダム化比較試験、である。 このうち、(1)は平成25年度に完遂し成果を海外誌に掲載済みであり、(2)も予定通りに平成26年度に完遂し、現在海外誌に成果を投稿中である。さらに、(3)についても予定通りに介入研究を開始できている。現在、1か月間の短期的介入効果のデータが出揃い、解析中である。今後、プロトコルにしたがって、1年間の長期観察を継続する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成27年度の計画は、(2)「夜間尿による食塩排泄量自己測定の個体間・個体内変動および測定精度の検討」を海外誌に掲載すること、(3)「食塩排泄量自己測定器によるセルフモニタリングの効果:2 群間並行ランダム化比較試験」を完遂することである。 (3)の対象者には、介入群およびコントロール群の双方に、減塩に関する情報提供を講演会や郵便で行い、研究開始から1年後の時点で、介入前後における24時間食塩排泄量、食事調査による食塩摂取量、食行動変容、血圧等を比較する計画である。問題点として、1)主要評価指標である24時間食塩排泄量の比較は、前後の24時間蓄尿の成功が条件であるため最終解析対象者の人数が不確定であること、2)観察期間(1年間)が長いため、同意撤回者が出てくる可能性が高いことである。しかし、申請時の予定(60名)よりも、多くの対象エントリー(123名)が確保できたため、一定数の最終解析対象者数が得られるものと推定される。
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Causes of Carryover |
本研究は、3つのサブテーマにより、食塩排泄量自己測定機器を主体とした体験型減塩教育の確立を目指すものである。そのうち、サブテーマ3の介入研究における被験者数が、目標エントリー数(60名)大きく超える登録(123名)があったため、それに伴う器具、尿検査費、消耗品、謝金などの支出増加が当初において予想された。そのため、平成26年度11月に研究費40万円の前倒し請求を行うことで支出増加に備えたが、被験者にユリンメートPなどの尿関連器具を再利用(当初は使い捨てで複数個の購入を予定)することの理解が得られたことや、謝金を謝礼(血圧測定器、体脂肪計、塩分濃度計、歩数系のいずれか)に変更することで、被験者への支払い額を予定の60%程度に抑えることができた。その結果、前倒し請求した研究費の使用を抑えることができたため、使用計画と使用額に誤差が生じたものの、被験者数の増加による大掛かりな予算変更は回避できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定において平成27年度の予算の多くは、介入研究の被験者に対する研究終了時の謝金であったが、被験者のモチベーションをあげるために、謝礼の健康グッズをを介入1か月時点に変更して平成26年度に支出した。 平成27年度は、被験者に対して介入期間中の減塩に関する情報提供や、研究終了時の尿検査費用、成果発表費用に使用することで、ほぼ予定どおりの予算使用となる見込みである。
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Research Products
(4 results)