2013 Fiscal Year Research-status Report
国内で流通する非加熱摂取食品に潜在する細菌学的健康リスクの解明
Project/Area Number |
25750069
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
原田 哲也 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 主任研究員 (70516723)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 腸内細菌科菌群 / 非加熱摂取食品 |
Research Abstract |
2013年4月から2014年4月までに、大阪府内で流通する洋生菓子50検体、漬物98検体、魚介加工品62検体について腸内細菌科菌群、黄色ブドウ球菌、サルモネラ属菌、毒素原性および志賀毒素産生性大腸菌あるいは腸炎ビブリオの汚染実態調査を実施した。その結果、洋生菓子では28検体から腸内細菌科菌群が、5検体から黄色ブドウ球菌が検出されたが、サルモネラ属菌と毒素原性および志賀毒素産生性大腸菌はすべての検体で陰性であった。漬物では、腸内細菌科菌群は94検体、黄色ブドウ球菌は6検体から分離されたが、サルモネラ属菌と毒素原性および志賀毒素産生性大腸菌はすべての検体で陰性であった。さらに、魚介類加工品では、44検体から腸内細菌科菌群が検出され、2検体から黄色ブドウ球菌が検出されたが、毒素原性および志賀毒素産生性大腸菌はすべての検体で陰性であり、腸炎ビブリオについても28検体を検査したが、すべて陰性であった。 また、国外産の非加熱摂取食品の薬剤耐性腸内細菌科菌群の汚染実態を把握するためにベトナムで流通する香辛料、ドライフードおよび菓子類の計28検体について汚染実態調査を行った。その結果、22検体から腸内細菌科菌群が分離された。 平成25年度の検討より、国内産の洋生菓子、漬物および魚介類加工品ならびにベトナム産非加熱摂取食品では腸内細菌科菌群の汚染率が非常に高いことが明らかとなった。そこで平成26年度以降の研究では、分離株について菌種同定、薬剤感受性試験および薬剤耐性遺伝子の検討を実施し、これらの株がヒトの健康リスクとなりうるかについて検討を進めていく。また、黄色ブドウ球菌についてもエンテロトキシンの産生性について検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は国内で流通する洋生菓子、漬物、魚介類加工品およびベトナムで流通する香辛料等の非加熱摂取食品について腸内細菌科菌群あるいは食中毒菌の汚染実態調査を実施し、腸内細菌科菌群汚染度が高いことを明らかとした。 平成26年度以降は、分離された株について薬剤感受性や保有する病原因子を検討し、ヒトの健康リスクとなりうるかを明らかにしていく予定である。これまでの検討で約400株が分離されており、菌株の解析には十分な株数が得られているため、本研究は順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでに分離された腸内細菌科菌群の菌種同定、薬剤感受性さらに薬剤耐性遺伝子の検討を中心に研究を進める。これまでの検討で約400株が分離されているため、新たな食品についての汚染実態調査は行う必要はないが、洋生菓子と魚介類加工品については検体数の上乗せを目指し、さらに継続して汚染実態調査を行っていく。また、国内産の非加熱摂取食品分離株と比較検討するために、ベトナム産の非加熱摂取食品についてはさらに腸内細菌科菌群の汚染実態調査を継続して実施して行く予定である。 また、菌種同定についてはAPI20E等の生化学的性状では同定不能の株が多く分離されているため、conventional PCR、リアルタイムPCR、16SrDNAシーケンスやMALDI-TOFMSによる解析を用いて正確な菌種同定を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品の購入が予定よりも少なかったこと、また、必要な旅費が予定より少なかったために、次年度使用額が発生した。 分離株の薬剤感受性試験や菌種同定のための試薬購入に使用する予定である。
|