2015 Fiscal Year Annual Research Report
植物生態学の視点を生かした野外体験型教員養成プログラムの開発
Project/Area Number |
25750072
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
谷 友和 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 講師 (60547040)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 野外学習プログラム / 植物生態学 / 課題解決能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「日本海側地域で一部の植物が大型化していることの謎」をテーマに掲げ、その成因を植物生態学研究として追究するとともに、生態学研究の成果を野外学習プログラムに取り入れ、課題解決型の学習指導に対応できる理科教員を養成することを目指している。
研究の最終年度には、上越市内で見られるユリ科多年草のオオウバユリ集団間のサイズ変異が、局所的な積雪の多寡に伴う個体の成長反応として説明できるのかを検証した。その結果、大型のオオウバユリ個体においては、小型のオオウバユリ個体よりも体内の通水コンダクタンス(根から葉までの水の通りやすさ)が高く、葉の水分をなるべく失わずに高い蒸散速度を得ていた。このような個体の反応は、積雪の多寡ではなく、生育場所の明暗に対する適応である可能性が高いと考えられた。
野外学習プログラムについては、大学院生と現職教員を対象とした野外観察指導実習(平成27年8月上越教育大学)において、「オオウバユリがウバユリよりも大きい理由を考える」というテーマで実施した。この活動ではまず、受講者に「植物の大きさと気温との関わりに関する仮説」を独立変数と従属変数に着目して立てさせた。その後、ウバユリとオオウバユリを例にとり、気温の高低と植物の大小の関係が逆転する事例を紹介した。さらにその後、ウバユリとオオウバユリ間のサイズ変異を説明するための仮説を立ててもらい、野外にてサイズの異なるオオウバユリを観察した。本活動についての事後アンケートを集計したところ、「独立変数と従属変数に着目して仮説を立てる能力」および、「理科における問題解決能力」をこの活動によって向上することができたかを問う項目において、「できた」・「ややできた」とする肯定的回答が大半を占めていた。そのため、この野外学習プログラムによって、教員を目指す大学院生と現職教員の課題解決能力を高めることができたと考えられた。
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Research Products
(2 results)