2014 Fiscal Year Research-status Report
授業紹介をゲームとしたFDコースバトルの設計と実践
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25750078
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
辻 高明 秋田大学, 評価センター, 准教授 (00454603)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 授業評価法 / ゲーミフィケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
「学生コースバトル」は,登壇する学生(以下,登壇学生)が自分の「お薦め授業」を一つ選出してきてプレゼンし,オーディエンスとなる学生(以下,オーディエンス学生)が,プレゼンされた授業の中でどの授業が最も魅力に感じたかを基準に投票して「チャンプ授業」を選定するゲームである.25年度の研究成果として,学生コースバトルでは,登壇学生はチャンプ授業を獲得するため,オーディエンス学生の存在を意識しながら授業分析を行っていること,また,オーディエンス学生の投票行為により自身の「授業評価の仕方や内容を評価される」という経験をすることで,授業の評価視点を深めていることが分かっている.さらに,オーディエンス学生も,他のオーディエンス学生の投票理由・傾向を知ることで,自身の授業観を再認識したり,自分とは異なる授業の評価視点の存在に気づいていることが分かっている. 26年度は,学生コースバトルを,秋田大学で6回,京都大学で1回実践し,ゲームとしてのルール設計を整備した.具体的には,登壇学生のプレゼン行為,オーディエンス学生の投票行為と,昨年度明らかになった学習効果との関係を踏まえ,より学習効果が高まるようそれら行為に関するルールを整えた.その結果,登壇学生のプレゼン形式は,PPTだけでなく,スピーチ形式も可とした方が学生の能動的な参加が促されること,プレゼンの制限時間は10分間が良いこと,オーディエンス学生の人数を15名以内にすれば質疑応答が充実すること,様々な学部の学生が参加すると授業観の違いが浮き彫りになること等が分かった.さらに,技術的な面として,投票方式は紙による無記名方式ではなく,挙手方式の方が,学生にとって異なる授業観の存在が自覚化されやすいことが分かった. その他,東京都の台東区立の小学校でも教員向けのFDコースバトルを行い,小学校教員の授業力向上のための本ゲームの有用性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,従来の授業評価に代わる,教員と学生,学生と学生の間の授業に関するコミュニケーション活動にゲーム性を取り入れた新しい授業評価の方法論を提起することである.そのために,コミュニケーションの場の「ルールの設計」と,教員,学生の「学習の分析」を循環的に進めている.25年度は,学生コースバトルにおける登壇学生のプレゼン行為,オーディエンス学生の投票行為を分析し,それら行為が彼らの学習効果に繋がるメカニズムを複数回の実践により明らかにしている.そして,26年度は,明らかになった学習効果を踏まえ,より学習効果が高まるようそれら行為に関するルール設計を整備した.ゆえに,概ね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は,26年度に設計した実践上のルールを再設計し,学生コースバトル,FDコースバトルのゲームとしての完成度を高める.また,大学の教員や学生だけでなく,初中等教育の教員や社会の人々に対しても本実践を開いていき,多様なステークフォルダーが参画する授業評価のためのゲーミフィケーションとして仕上げていく.
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Causes of Carryover |
26年度に学生コースバトルを,新しい授業評価の方法論としてFDコースバトルに仕上げていく予定であったが,学生コースバトルにおける新規の研究成果として,大学教育改革のための学生ステークフォルダーからの意見聴取の方法論としての有効性が見出された.そのため,本研究の最終ゴールを,FDコースバトルの構築及び,ステークフォルダーからの意見聴取の方法論の構築という2つに設定し直したため,27年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
FDコースバトルの構築の最終成果に関する国内外での学会発表及び,ステークフォルダーからの意見聴取の方法論の構築の成果に関する国内外での学会発表のために使用する.
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