2013 Fiscal Year Research-status Report
自己主導的なeラーニングのための学習方法選択支援ツールの開発研究
Project/Area Number |
25750085
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 暁子 徳島大学, 教育改革推進センター, 准教授 (20648969)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | eラーニング / LMS / 自己主導学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遠隔非同期型のe ラーニングを対象として、学習者向けの「学習方法選択支援ツール」を開発し、これまでの研究で開発したツールとともに一般的な学習管理システムに組み込むことにより、自己主導学習スキル獲得の前提となる、自己主導的な学習環境を構築することである。当該年度においては、1.利用可能なツールの現状・動向調査、2.学習課題の性質に応じた課題設定の具体例の整理、3.学習方法選択支援ツールの基本設計を行った。1.の研究成果をMoodle Moot2014で発表および意見交換を行うとともに、2.~3.に関しては、国内学会(JSET、JSiSE)等において教育工学研究者と意見交換した。具体的な成果を以下に示す。 (1)汎用的な学習管理システムである「Moodle」のプラグインを調査した。その結果、本研究で開発を目指している「学習方法の選択支援」を目的としたプラグインは見つからなかったため、本研究の新規性が増した。一方、過去の研究で開発した「学習内容選択支援ツール(LCM)」の類似プラグインが5点見つかり、コンテンツの「意味」と「その構造関係」を同時に学習者へ提示することの有用性について示唆を得た。また、本調査でMoodleに新機能(完了トラッキング機能等)が追加されたことが分かり、LCMの拡張が容易となったことを確認した。これは、自己主導的な学習環境の基盤整備が加速する点で意義がある。 (2)学習課題の性質に応じた課題設定を支援する機能は「教員向け」ツールに実装すべきとの意見をもらい、本研究の発展へ向けて調査を継続することが重要であることが分かった。 (3)(1)と(2)を踏まえて学習方法選択支援ツールの基本設計を行い、過去に開発したLCMに、学習活動の種類を提示する機能を追加する方針とした。これにより、学習者に「学習内容(何を学ぶか)+学習方法(どうやって学ぶか)」のヒントを与えることが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
利用可能なツールの現状・動向調査を十分に行い、研究発表と意見交換を通じてアイディアを具体化し、本年度の目標通り、開発するツールの基本設計までを終えることができた。また、教育工学研究者から本研究の発展に向けた示唆をいただき、学習課題の性質に応じた課題設定の具体例の整理は継続するため、計画以上の進捗とまでは言えないと考えた。したがって「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の基本設計を踏まえ、「学習方法選択支援ツール」のプロトタイプの開発(α版)と評価および改善を行う。その結果を踏まえ、本研究の発展に向けて、教員向けツール等の検討も行う。 ①プロトタイプの開発(α版) 本ツールの開発言語は、Moodle の開発言語であるPHP、JavaScript とする。これまでの研究で開発した「学習内容選択支援ツール:LCM」を拡張し、新機能として「学習活動の種類の提示機能」を追加することで実現する。開発は、これまでの研究と同様に申請者が担当する。開発過程においてシステム開発の専門家から意見を得る機会を設け、予算や時間的な制約を考慮して効率よく開発することを目指す。 ②プロトタイプの評価と改善 プロトタイプの改善点を明らかにするために、形成的評価を行う。はじめにシステム開発およびインストラクショナルデザインの専門家に協力いただき、専門家レビューを行う。専門家レビューの結果、大きな問題が見つからなければ、利用者として想定される被験者を募り、1 対1 評価、小集団評価と段階的に行う。被験者としては熊本大学大学院教授システム学専攻の学生・修了生(5~10 名)に協力を得る。アンケートや学習ログの量的な分析に加え、インタビューや評価時の観察記録などの質的分析によって、研究目的で挙げた「(ア)開発するツールは学習方法の選択時に有効な支援ができているか」「(イ)自己主導的なe ラーニングにおける適切な学習方法のアドバイスとはどのようなものか」について明らかにしていく。評価の結果、大幅な改善の必要がないと判断された段階で、β版として広く公開する。β版を公開することで、自己主導的なe ラーニング環境の構築が加速することを狙う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属先変更のため、サーバ等の物品購入の時期を、研究環境が整う次年度に持ち越すこととした。 前年度に購入を見送った物品を購入する。
|