2014 Fiscal Year Research-status Report
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25750099
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣川 和花 大阪大学, 適塾記念センター, 准教授 (10513096)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疫学調査 / ハンセン病 / 医療記録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、基本的には昨年度の調査研究を発展させる形で、下記のような調査研究を実施した。 1.近代日本における疫学研究の発展に関する資料の収集:戦前(1920~30年代)の医学・衛生学・農村医学等の研究動向が、植民地医学の成果も含めて総力戦体制下の研究動員により再編成される過程と、戦後(1960~70年代)にそれらの人脈と研究の遺産が一部継承されつつ社会医学的関心の高まりへとつながっていく過程を資料に即して明らかにするため、各時代の学術文献の収集と分析を行った。主に戦前期の疫学の萌芽期において各医学分野でどのような受容が見られたかを中心に分析した。 2.海外文献の調査・分析:特に1920~30年代日本へのハンセン病疫学の導入・発展の背景を総合的に明らかにするため、植民地医学としてのハンセン病医学の性格を重視して、これまで十分に検討されていなかった国際会議の記録や欧米の医学雑誌に発表された医学・疫学論文を収集した。これらの記録を通じて、各国のハンセン病対策の性格や医学的関心の重点の差異を整理してゆく予定である。同時に、世界各地、特に欧米の植民地を中心に行われたキリスト教主義のハンセン病救療ミッションによる調査報告書についても、各地域の疫学的状況を伝える重要な資料として収集の対象とした。 今後は、1および2の方向性をそれぞれ発展させつつ統合的に把握し、自然科学と社会の接点としての疫学のもつ性格を重視し、研究としてまとめる作業を中心に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の少ない分野であるために、当初の想定通り基礎的な文献・資料調査に多くの時間と労力を割くこととなった。しかし、アメリカ滞在時に効率よく海外文献調査を進めることができ、またこれまでの調査の経験も生かし、概ね予定通りの進捗状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
文献・資料収集は引き続き行いつつ、これまでに収集済みの文献・資料の分析を進め、そこから見えてきた課題の整理およびその解決をはかることが今後の作業の中心となる。研究報告等を積極的に行い、各分野の専門家からの助言を得つつ成果をまとめる。
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