2014 Fiscal Year Research-status Report
温暖化に伴う積雪減少による東アジア気象場への影響の時空間特性の解明
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25750117
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
阿部 学 独立行政法人海洋研究開発機構, 統合的気候変動予測研究分野, 技術副主任 (50377983)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地球温暖化 / 積雪変化 / 地球システムモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の北極域温暖化増幅に伴うユーラシアの積雪変化による東アジア気象場への影響を明らかにする目的のため、平成26年度は地球システムモデル(MIROC-ESM)によって予測されたユーラシア大陸の積雪量変化を調べ、それに関連する地表面熱収支変化や大気場への影響を解析した。予測された21世紀後半の積雪量は、20世紀後半の積雪量に比べ、気温上昇によってユーラシア全体的に減少する。特に西部ユーラシアでの積雪量減少が顕著であった。一方、シベリア域では、秋季と春季は減少するが、冬季は積雪量の増加がおこり、年平均した積雪量変化としては、西部ユーラシアに比べると小さい。シベリアの冬季の積雪量増加の原因は、温暖化により気温が上昇したために大気中水蒸気量の増加が生じ、総降水量が高緯度域全体で増加したために、温暖化しても気温が0度以上にならなかったシベリアでは降雪量も増加したからである。ただし、降雪量/総降水量の比は減少している。これらの結果は他機関のモデルの結果と整合的である。 MIROC-ESMは20世紀後半の春季のシベリアにおける積雪量が過大であり、アルベドも大きいため、21世紀後半の積雪減少に伴うアルベド低下による熱収支や大気場への影響が強く、地表面気温の上昇量も大きい。そのため、将来の冬季から春季・夏季へのシベリア高気圧の衰退も早くなり、冬季東アジアモンスーンも早期に衰退する傾向にあった。しかし、他機関のモデルの結果と比較した場合、これらの結果についてはモデル間の不確実性が大きいことがわかり、今後の将来予測にとって、雪に関連する物理量の再現性や精度向上に向けた理解がより重要な課題であることが示された。 また、来年度予定している気候モデルを用いた感度実験の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり、将来の積雪量変化の解析を行うことができた点で順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度予定している感度実験の準備にもすでに着手しており順調に進んでいる。計画通り、上半期中に温暖化における積雪変化の効果に関する感度実験を行い、実験結果の解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた論文投稿を研究の進捗状況により次年度に延期したため、それにかかわる費用が未使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は論文投稿の際に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)