2014 Fiscal Year Research-status Report
乾燥地域における放牧システムのレジリアンスに関する研究:樹木の役割に着目して
Project/Area Number |
25750118
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
手代木 功基 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (10635080)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乾燥地 / ナミビア / モンゴル / 家畜 / 放牧 / 灌木 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乾燥地の放牧システムにおける樹木の位置づけを明確化し、その採食資源としての重要性、特に干ばつや多雨、寒害といった極端気象イベントの影響を緩和する役割を評価することである。本研究では、樹木の分布要因、家畜の採食資源としての樹木の重要性、極端気象イべントが発生した際の樹木の役割の変化、の3点を現地調査から具体的に明らかにすることで目的を検討する。これらをもとに条件が異なるナミビアとモンゴルの二地域を比較して、草本が中心的に考えられてきた放牧地の植生利用を再考し、レジリアントな放牧システムとはいかなるものかについて展望する。 昨年度までは、主に新しい調査地であるモンゴルにおいて調査体制を整えることを主体として実施し、モンゴル国ドントゴビ県を対象地域に設定して、さらに調査対象世帯を選定した。そして、これらの調査世帯に依頼し、放牧ルートに関するデータ収集を開始した。 二年目となる今年度は、モンゴル、ナミビアにおける放牧ルートのデータ取得を継続的に実施し、順調にデータを収集することができた。特に、ナミビアにおいては2015年はじめの雨季において降水量が平年よりも少なく、極端気象イベントが確認されたため、極端気象時の事例を収集することができた。モンゴルの調査対象地域においては、広域における樹木の分布を抽出するためにオブジェクト分類手法を用いた衛星画像解析を実施し、樹木の空間的な分布を広域で明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において最も重要なデータとなるのは、家畜の放牧ルートに関する位置情報である。昨年度から両地域でこのデータ収集を開始したが、これまで途切れることなく順調にデータを収集できているため、この点については極めて順調に進展している。さらに、気象データ等についても問題なく収集が進展している。また、今年度は計画通り衛星画像解析にも取り組むことができ、現地調査以外の解析面でも研究の進捗状況は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、フィールドワークによって取得したデータを重視した研究計画を策定している。この点は本研究の特色でもあることから 、今後も継続して続けていく予定である。その上で、来年度以降はフィールドで得られたデータの解析を精力的に行っていく。成果公開に関しては、特に研究が進展しているナミビアの事例をもとに査読論文を投稿する予定であり、モンゴルの事例についても論文の執筆を開始し、着実に成果を出せるよう研究を進展させていきたい。
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Causes of Carryover |
物品購入額や旅費において端数が発生したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
端数であるため、特にこれまでの計画を変更することなく使用する
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