2015 Fiscal Year Annual Research Report
北海道の水稲生産における温暖化に伴う農業気候ポテンシャルの時空間的定量化
Project/Area Number |
25750119
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
根本 学 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・生産環境研究領域, 主任研究員 (10469843)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 温暖化影響評価 / 水稲収量予測 / 水稲発育モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】品種特性の異なる水稲品種(きらら397:標準、ななつぼし:穂重型、ふっくりんこ:穂数型)を対象に、現在(2000年代)に対する将来(2050年代)の収量変化について試算した。 【方法】各収量構成要素を推定しその掛け合わせで収量を推定するモデル(1年目解析結果)と日射量考慮のDVRモデル(2年目解析結果)を用いて、各収量構成要素および収量の現在(2000年代)に対する将来(2050年代)の変化量を解析した。将来予測データは、1981-2010年の気象庁平年値データでバイアス補正したMIROC3.2(hires)を使用した。北海道平均では、4-10月の平均気温と日射量は、それぞれ2.5℃、+4%であった。地点解析を、水田地帯に位置する深川、美唄、北斗のアメダス3地点で行った。苗の種類は中苗、移植日を5月20日と仮定した。 【結果】現在と将来の10年平均で比較すると(気温+2.5℃、日射量+4%の場合)、収量比はきらら397、ななつぼし、ふっくりんこでそれぞれ1.00、0.94、0.99 であり。穂重型のななつぼしで、収量が低下する結果となった。気温上昇に伴い生育期間が短縮されることで、穂数、一穂モミ数は減少するが(それぞれ平均で、-3%、-8%)、日射量の増大が登熟歩合と千粒重は増加している(それぞれ平均で、+9%、+3%)。ななつぼしは穂数の減少が他の品種より大きく(-7%)、収量減に寄与している。一方で、日射量-4%(気温は+2.5℃)を仮定して試算した場合、上記3品種の将来の現在に対する収量比は、3品種ともに0.84と大幅な減収が予測された。 【結論】2050年代に予想される現在よりも+2.5℃の温暖化条件で、さらに日射量が増加(+4%)する場合には、穂重型のななつぼしにおいて、特に収量の低下する可能性が示唆された。
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