2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川村 大伸 筑波大学, システム情報系, 助教 (50548261)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 品質管理 / 多品種少量生産 / 管理図 / 統計的品質管理 |
Research Abstract |
伝統的な統計的工程管理では,少品種大量生産を想定しているため,半導体製造工程のような多品種少量生産の現場では,有効に機能しないという問題がある. 本研究では,半導体製造工程を対象とし,技術者に対するインタビューにより,多品種少量生産によって生じる問題を“多品種”と“少量”に区分して整理した.次に,先行研究をレビューした後に,これらの問題を解決できると考えられるQuesenberryのQ管理図に着目した.この管理図は理論的な評価はなされているが,実務において有用であるかについては未知数である.そこで,半導体製造工程の一工程であるLPCVD工程から得られたデータセットを用いて,評価を行った.具体的には,通常であれば品種毎に管理図を作成しなければならないが,Q管理図を使用することによって,1枚の管理図で多品種を管理可能か否かの評価,さらには少量である品種の生産時に工程異常が発生した場合であっても異常を検知できるか否かの評価を行った.また,Q管理図のデメリットの一つとして,変換によってスケールが変更されてしまうことが指摘されている.これはQ管理図にプロットされる打点が生データではなく,変換後のデータとなるため,技術者が持っている知見や経験から工程異常の兆しの発見や,異常発生時における原因探索を困難にしてしまうなどの危険性を孕んでいることを意味している.これに対しては,Q管理図設計のプロセスとは逆に,生データは変換せず,代わりに中心線や管理限界線を変換することによるデメリットの解消方法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,多品種少量生産である半導体製造工程を対象とし,昨今の製造環境に適した統計的工程管理手法の提案を目的としている.今年度は,半導体製造工程において生じている多品種少量生産の問題を明確にすることが最重要課題であった.現状把握が不十分では,次年度からの研究に支障をきたすからである.その点については,多数の技術者との議論や,実データの採取・解析を通じて明らかにすることができた.また,Q管理図の評価結果から,そのメリットやデメリットを把握でき,さらにはその有用な使用方法を提案することができた.このことから,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
LPCVD工程以外の半導体製造工程にも対象範囲を広げ,実工程で試用することでQ管理図の実用性の評価を行う.また,多品種少量生産に適した多変量管理図の研究に着手する予定である.
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