2014 Fiscal Year Annual Research Report
海氷減少化傾向の北極海における船舶の最短航海時間航路選択に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25750123
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
嶋田 陽一 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 助教 (90455501)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 北極海航路 / 海氷密接度 / 北極海 / 航海シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
北極海航路の航海シミュレーションを実行し、海氷減少傾向の北極海における船舶の航行可能性を調べた。最も厳しい航行可能な最大海氷密接度の航海シミュレーションでは、北極海航路の開通期間は8月下旬から9月下旬まであった。東方方面の航海において、船舶が東経90度辺りの海域を通過すれば、北極海航路を通過する傾向を示す。一方、西方面の航海において、船舶が東経150度辺りの海域を通過すれば、北極海航路を通過する傾向を示す。これらの結果は、ロシア本土と諸島から形成される海峡付近の海氷状況が航行可能期間に大きく影響を及ぼすことを示唆する。 これまで船舶は常に目的地へ航行し続ける条件を設定したが、海氷は気象・海象によって変動するので、航路上に海氷が分布するとき船舶は待機しなければならない場合がある。それゆえ、船舶の待機を考慮した航海シミュレーションを構築し、それによる北極海航路開通の影響を調べた。航行可能な最大海氷密接度を上げると、船舶の待機を考慮した場合の北極海航路開通頻度は増加する。船舶の待機を考慮しない場合に対して考慮した場合における北極海航路開通頻度の増加分は、最も厳しい航行可能な最大海氷密接度の航海シミュレーションでは13回であった。 ウェザールーティング(WR)が有効な海域の条件として、東西距離が長いこと、航路選択の可能な海域が広いことが挙げられる。将来の北極海の海氷がさらに減少すればWRの効果が期待できるかもしれないが、近年の北極海の海氷分布では航行可能な海域がまだ狭いので、北極海航路開通の重要な要素はロシア本土と諸島から形成される海峡周辺の海氷状況である。これまでの結果から航路選択による航海時間の短縮化よりも、航路を固定して上述した船舶の沖待ち及び船速の制御を考慮した航海が、総合的にみると最適な北極海航路の航海となると考えられる。
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Research Products
(7 results)