2013 Fiscal Year Research-status Report
集団意思決定問題に対する多目的評価手法の開発と現実問題への適用
Project/Area Number |
25750125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林田 智弘 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20432685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多属性効用分析 / 集団意思決定 / 農業政策 |
Research Abstract |
(i)多属性効用分析を基礎とした選好構造の近似的な同定手法の開発 多属性効用分析における属性間のトレードオフ関係に関する評価に関する従来手法(Keeney and Raiffa, 1976)を改訂した.従来手法では,属性間のトレードオフ関係を定量的に表すスケール定数を同定するために厳密な無差別点を一意に特定する必要があったが,改訂手法では仮想的な代替案のいくつかのペアに対する選好関係を評価するだけで,対象問題に対する意思決定者の選好構造を表す効用関数を近似的に同定する手法を開発することに成功した. (ii)農業政策の策定 平成25年度は主に宮崎県における農業政策を策定した.宮崎県では促成栽培のためのビニルハウスの温度や湿度調整のために石油燃料を用いており,これに起因する空気汚染が進行している.このため,ビニルハウス内の温度および湿度調整に必要なエネルギーを太陽光および太陽熱を用いた再生可能エネルギーに代替することを支援するような農業政策を策定した.なお,農業政策の策定にあたっては化学肥料による土壌汚染や農産物の販路なども考慮した総合的な農業政策となっている. (iii)実地調査および意識調査 宮崎県の農業地域での実地調査および関係者に対する聞き取り調査を行った.これらの調査では,農業経営の実態や農業経営者の選好構造,および再生可能エネルギーの農業への応用研究などが明らかとなった.この調査結果に基づき,(ii)で策定した農業政策の改訂および(i)で開発した意思決定手法に基づく多目的評価を行った. 以上の研究成果を,国際会議や国内の会議等において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」(i)-(iii)の項目は,平成25年度の研究実施計画で明記していた内容であり,特に,(i), (ii) については順調に進展していると評価できる.また,(iii)については,宮崎県での実地調査および意識調査が完了している. 計画では,広島県と宮崎県の農業政策に関して並行した調査を行う予定であったが,研究遂行の効率性を考慮して宮崎県での調査を完了させ,宮崎県の農業政策の評価を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26~27年度は,研究実施計画通り,宮崎県での農業政策の多目的評価を行う.また,広島県の農業に関わる実地調査および意識調査を行う. さらに,(i)で開発した集団意思決定手法のさらなる改善手法の開発も行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は,関連分野の研究について情報収集するために多くの学会等に参加したため,学会参加費や旅費が予定よりも多く必要であった. 一方で,当該年度には広島県の農業政策に関する調査準備をする予定であったが,当該年度には宮崎県に関する調査と評価を完了した.このため,広島県の農業政策に関する研究を行わなかったため,次年度使用額が生じた. 広島県の農業政策に関する研究を次年度以降に行う.
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Research Products
(5 results)