2015 Fiscal Year Annual Research Report
集団意思決定問題に対する多目的評価手法の開発と現実問題への適用
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25750125
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林田 智弘 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多属性意思決定 / 集団意思決定 / 農業政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,意思決定者の選好構造の定量的評価に基づく多属性効用分析を,集団意思決定問題に適用するための手法を開発した.従来手法では意思決定者は属性間のトレードオフ関係の定量的評価のための難解な質問に回答する必要があったが,これをいくつかの平易な質問のみで最も選好される代替案が選択可能となった.宮崎県における農業政策の策定および評価を集団意思決定問題と解釈した適用研究を行い,提案手法の妥当性を確認できた.また,一般に集団意思決定問題は不確定要素の多い問題であるため,不確実性評価のためのエージェントベースシミュレーションの基礎研究も行った. (i)多属性効用分析を基礎とした選好構造の近似的な同定手法の開発 多属性効用分析の従来手法では,複数の代替案から最も選好されるただ1つの代替案の合理的な選択のために,属性間のトレードオフ関係を定量的に表すスケール定数を,厳密な無差別点を一意に特定することで同定する手順が求められた.これに対して本研究では,仮想的な代替案のいくつかのペアに対する選好関係が明らかとなれば,意思決定者の選好構造を配慮した合理的な代替案の選択が可能となる意思決定手法を開発した. (ii)農業政策の策定 現実の集団意思決定問題への適用研究として宮崎県における農業政策に着目し,農業政策の策定を行った. (iii)実地調査および意識調査 (ii)の農業政策を評価するための実地調査を行い,(i)で開発した意思決定手法に基づく意識調査を行った. (iv)農業政策の評価 本研究で開発した(i)の意思決定手法に基づいて,(ii)で策定した農業政策を多目的評価した.結果として,複数の利害関係者の選好構造を考慮した1つの農業政策を合理的に選択することができた. (v)不確実性評価のためのシミュレーション 複数の機械学習手法を基礎としたエージェントベースシミュレーションの基礎研究を行った.
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Research Products
(11 results)